裏側矯正の真実〜知っておくべきメリットとデメリット

執筆者情報:小室 敦

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裏側矯正の真実〜知っておくべきメリットとデメリット

裏側矯正とは?基本的な仕組みと特徴

裏側矯正は、歯の裏側(舌側)にワイヤーとブラケットを装着して歯並びを整える矯正方法です。リンガル矯正や舌側矯正とも呼ばれており、表側矯正と比べて外からほとんど見えないという大きな特徴があります。

表側矯正が長い歴史を持つ一般的な治療法であるのに対し、裏側矯正は見た目を気にする方のニーズに応える形で発展してきました。特に人前に立つ機会が多い方や、矯正治療中の見た目を気にされる方に選ばれる傾向があります。

裏側矯正の最大の特徴は、歯の裏側に装置を付けるため、正面からはほとんど見えないことです。これにより、矯正中でも人前で自信を持って笑えるというメリットがあります。

しかし、歯の裏側は表側と比べて形状が複雑で個人差も大きいため、一人ひとりの歯に合わせたオーダーメイドの装置が必要になります。このカスタマイズの工程が、裏側矯正の費用や準備期間に影響を与えています。

裏側矯正のメリット6選

裏側矯正には、他の矯正方法にはない独自のメリットがあります。矯正方法を選ぶ際の判断材料として、以下の6つのメリットを詳しく見ていきましょう。

1. 治療中の見た目が目立たない

裏側矯正の最大の魅力は、装置が歯の裏側にあるため外からほとんど見えないことです。人前に立つ機会が多い方や、仕事上の理由で矯正装置を見せたくない方にとって、この「見えない矯正」という特徴は大きな利点となります。

接客業や営業職、プレゼンテーションの機会が多い方など、対人コミュニケーションが重要な職業の方々に特に選ばれています。また、結婚式や重要なイベントを控えている方にも適しています。

2. 前歯を引っ込める治療が得意

裏側矯正は、歯の内側からワイヤーを通すため、出っ歯などの前方に突出した歯並びを引っ込める治療に特に効果的です。内側からの力が直接前歯に作用するため、表側矯正よりも効率的に歯を後方に移動させることができます。

特に日本人に多い出っ歯の改善には、裏側矯正の特性が活かされます。歯の裏側から力をかけることで、より自然な形で前歯を引っ込めることが可能なのです。

3. 舌の悪癖を治す効果もある

舌で前歯を押す癖(舌癖)がある方にとって、裏側矯正は一石二鳥の効果があります。装置が舌の動きを物理的に制限するため、自然と舌癖が改善されるのです。

舌癖は歯並びを悪くする原因の一つであり、矯正治療後の後戻りリスクも高めます。裏側矯正ならば、矯正しながら同時に舌癖も改善できるため、治療効果の持続性も期待できるでしょう。

4. 表面のエナメル質が傷つきにくい

表側矯正では、歯の表面にブラケットを接着するため、装置を外した後にエナメル質に微細な傷が残ることがあります。一方、裏側矯正では歯の裏側に装置を付けるため、見える部分のエナメル質への影響が少ないのです。

歯の見た目を重視する方にとって、表面のエナメル質を保護できる点は大きなメリットと言えるでしょう。

5. 歯周病や虫歯になりにくい

歯の裏側は唾液が多く循環している部位です。唾液には自浄作用や殺菌作用があるため、装置を付けていても比較的清潔に保ちやすいという特徴があります。

また、歯の裏側はエナメル質が厚いため、虫歯に対する抵抗力も強いとされています。矯正治療中の虫歯リスクを少しでも減らしたい方にとっては、この点も魅力的です。

6. 食べかすの挟まりが気にならない

表側矯正では、食事後に装置に食べかすが挟まると目立ってしまうことがあります。裏側矯正なら、たとえ食べかすが挟まっても外からは見えないため、食事後の見た目を気にせず過ごせます。

特に外食や会食の機会が多い方にとって、このメリットは日常生活の質を大きく左右するポイントになるでしょう。

裏側矯正のデメリット5選

裏側矯正には多くのメリットがある一方で、いくつかの注意点やデメリットも存在します。治療方法を選ぶ際には、これらのデメリットもしっかりと理解しておくことが大切です。

あなたのライフスタイルや優先事項に照らし合わせて、メリットとデメリットを総合的に判断しましょう。

1. 通常矯正より費用がかかる

裏側矯正の費用相場は、およそ40万〜170万円と表側矯正より高額になる傾向があります。これは、一人ひとりの歯の形状に合わせたオーダーメイドの装置が必要なことや、装着・調整に高度な技術が求められるためです。

歯の裏側は表側よりも凹凸が多く、面積も狭いため、装置の設計・製作には精密な技術と時間がかかります。この工程が費用に反映されるのです。

2. 治療期間が長くなることがある

裏側矯正は、装置の調整が表側矯正より複雑なため、治療期間が長くなる可能性があります。通常、裏側矯正の治療期間は5ヶ月〜3年程度とされていますが、症例の難易度によって大きく異なります。

また、装置の調整に時間がかかるため、1回の診察時間も表側矯正より長くなる傾向があります。時間的な制約が厳しい方は、この点を考慮する必要があるでしょう。

3. 滑舌に影響が出やすい

裏側矯正の最も一般的なデメリットは、装置が舌に触れるため発音に影響が出やすいことです。特に「さ行」や「た行」などの発音が難しくなり、慣れるまでは滑舌に影響が出ることがあります。

多くの場合、2週間〜1ヶ月程度で徐々に慣れていきますが、話す機会が多い職業の方は、この適応期間を考慮して治療開始時期を検討するとよいでしょう。

 

裏側矯正を始めて最初の1週間は、まるで舌に異物感があるような不思議な感覚でした。でも、驚くことに2週間もすれば、ほとんど気にならなくなりましたよ。

 

4. 食事がしづらくなる

装置が舌側にあるため、食べ物を舌で操作しにくくなり、食事の際に不便を感じることがあります。特に、柔らかい食べ物や粘着性のある食品は装置に付着しやすく、食べにくさを感じる方が多いようです。

また、装置に食べ物が挟まりやすいため、食事後の丁寧な歯磨きが必要になります。外食が多い方や、食事を楽しむことを重視する方にとっては、この点が生活の質に影響する可能性があります。

5. 歯磨きが難しくなる

裏側矯正では、装置が歯の裏側にあるため、歯磨きが難しくなります。特に奥歯の裏側は、通常でも磨きにくい部位ですが、装置があることでさらに清掃が困難になります。

効果的に歯を清掃するためには、専用の歯ブラシや歯間ブラシ、ウォーターピックなどの補助器具を使用する必要があります。口腔ケアに時間をかけられない方や、既に歯周病のリスクが高い方は注意が必要です。

裏側矯正に向いている人・向いていない人

裏側矯正は万能な治療法ではありません。あなたの歯の状態や生活スタイル、優先事項によって、適している場合とそうでない場合があります。ここでは、裏側矯正に向いている人と向いていない人の特徴を解説します。

裏側矯正をおすすめできる人

裏側矯正は、以下のような方に特におすすめできる治療法です。

  • 見た目を重視する方:接客業や営業職など、人前に立つ機会が多い方
  • 出っ歯の改善を希望する方:内側からの力で効率的に前歯を引っ込められる
  • 舌癖がある方:装置が舌の動きを制限し、舌癖の改善に役立つ
  • 表側のエナメル質を保護したい方:見える部分の歯の表面を傷つけたくない方
  • 矯正中も人前で自信を持って笑いたい方:写真撮影や人前でのスピーチが多い方

特に、結婚式や就職活動、重要なプレゼンテーションなど、人生の重要なイベントを控えている方にとって、裏側矯正は魅力的な選択肢となるでしょう。

裏側矯正をおすすめできない人

一方で、以下のような方は裏側矯正よりも他の矯正方法が適している可能性があります。

  • 過蓋咬合(かがいこうごう)の方:上の前歯が下の前歯を深く覆っている場合、裏側矯正が難しいことがある
  • 舌が大きい方:装置と舌の接触が多くなり、違和感や発音障害が強く出る可能性がある
  • 歯周病が進行している方:歯磨きが難しくなるため、歯周病がさらに悪化するリスクがある
  • 話す機会が特に多い職業の方:アナウンサーや講師など、発音の正確さが求められる職業の方
  • 費用を重視する方:予算に制約がある場合は、より費用が抑えられる表側矯正やマウスピース矯正も検討する価値がある

また、重度の不正咬合や複雑な症例の場合、裏側矯正だけでは対応できないこともあります。そのような場合は、歯科医師と相談の上、最適な治療法を選択することが重要です。

裏側矯正の費用と治療期間

裏側矯正を検討する際、費用と治療期間は重要な判断材料となります。ここでは、一般的な費用相場と治療期間の目安について解説します。

裏側矯正の費用相場

裏側矯正の費用相場は、およそ40万〜170万円です。この幅が大きいのは、症例の難易度や矯正装置の種類、医院によって料金設定が異なるためです。

費用に影響する主な要因としては、以下のようなものが挙げられます:

  • 症例の難易度(軽度の歯並びの乱れか、重度の不正咬合か)
  • 矯正装置の種類(既製品か完全オーダーメイドか)
  • 矯正範囲(上下両方か、上顎のみか)
  • 地域や医院の立地(都市部か地方か)
  • 歯科医師の経験や専門性

また、裏側矯正は保険適用外の自由診療となるため、医院によって料金体系が大きく異なります。複数の医院で相談を受け、費用と内容を比較検討することをおすすめします。

裏側矯正の治療期間

裏側矯正の治療期間は、一般的に5ヶ月〜3年程度とされています。こちらも症例の難易度によって大きく異なります。

軽度の歯並びの乱れであれば半年程度で改善することもありますが、重度の不正咬合や複雑な症例では2〜3年かかることもあります。

治療期間に影響する主な要因は以下の通りです:

  • 歯並びの状態(軽度・中等度・重度)
  • 年齢(若い方が歯が動きやすい傾向がある)
  • 骨格的な問題の有無
  • 患者さん自身の協力度(指示通りのケアができているか)
  • 定期的な通院の継続性

通院頻度は一般的に4〜8週間に1回程度ですが、治療の進行状況によって調整されます。また、装置の調整に要する時間は表側矯正より長くなる傾向があるため、1回の診察時間も長めに見積もっておくとよいでしょう。

裏側矯正のよくある質問

裏側矯正について、患者さんからよく寄せられる質問とその回答をまとめました。矯正治療を検討する際の参考にしてください。

裏側矯正は表側矯正と比べて仕上がりが劣ることはありますか?

結論から言うと、適切な技術を持った歯科医師が行う裏側矯正であれば、表側矯正と同等の治療効果が期待できます。矯正力や治療の効果は、装置の位置よりも歯科医師の技術や経験に大きく依存します。

ただし、裏側矯正は技術的に難易度が高いため、経験豊富な専門医を選ぶことが重要です。特に複雑な症例では、医師の技術によって仕上がりに差が出ることもあります。

裏側矯正でも表側にワイヤーをつけることがありますか?

症例によっては、上の歯は裏側矯正、下の歯は表側矯正というハーフリンガル矯正を行うことがあります。これは、下の歯の裏側は特に狭く、装置の装着が難しい場合や、発音への影響を最小限に抑えたい場合に選択されることがあります。

また、治療の途中で一部の歯に対して表側からの力が必要になった場合、一時的に補助的な装置を表側に付けることもあります。これらの判断は、症例の難易度や治療の進行状況によって歯科医師が適切に行います。

裏側矯正は痛みが強いですか?

裏側矯正は表側矯正と比較して、痛みの感じ方には個人差があります。装置が舌に触れるため、最初は違和感や痛みを強く感じる方もいますが、多くの場合2週間〜1ヶ月程度で徐々に慣れていきます。

矯正力自体については、適切に調整されていれば表側矯正と大きな違いはありません。ただし、歯の動き始めや調整後には一時的に痛みを感じることがあります。これは矯正治療全般に共通することで、数日で落ち着くことが多いです。

裏側矯正中の食事や口内ケアはどのように行えばいいですか?

裏側矯正中は、以下のような点に注意して食事や口内ケアを行うことが重要です:

  • 食事について:硬いものや粘着性の高い食品は避け、一口サイズを小さくして食べると食べやすくなります。また、前歯で噛み切る動作は装置に負担をかけるため、なるべく避けるようにしましょう。
  • 口内ケアについて:通常の歯ブラシに加え、歯間ブラシやワンタフトブラシ、ウォーターピックなどの補助器具を使用すると効果的です。特に装置の周りや歯と歯の間は丁寧に清掃することが大切です。
  • 定期的なクリーニング:歯科医院での定期的なクリーニングを受けることで、自分では取りきれない汚れを除去し、虫歯や歯周病のリスクを減らすことができます。

また、矯正中は通常よりも丁寧な口内ケアが必要になるため、時間に余裕を持って行うことをおすすめします。特に外出先での食事後は、携帯用の歯ブラシやマウスウォッシュを活用するとよいでしょう。

まとめ:裏側矯正の選択は慎重に

裏側矯正は、見た目を気にせず矯正治療を受けられる画期的な方法です。特に人前に立つ機会が多い方や、矯正中の見た目を重視する方にとって大きなメリットがあります。

しかし、費用が高額になる傾向や、発音や食事への影響、歯磨きの難しさなど、いくつかのデメリットも存在します。矯正方法を選ぶ際には、これらのメリット・デメリットを総合的に判断し、自分のライフスタイルや優先事項に合った選択をすることが大切です。

また、裏側矯正は技術的に難易度が高いため、経験豊富な専門医を選ぶことが重要です。複数の医院でカウンセリングを受け、症例実績や治療方針、費用などを比較検討することをおすすめします。

矯正治療は数ヶ月から数年にわたる長期的な取り組みです。治療方法の選択だけでなく、信頼できる歯科医師との出会いも、治療成功の重要な要素となります。

表参道AK歯科・矯正歯科では、裏側矯正を含む様々な矯正方法に対応しており、一人ひとりの状態や希望に合わせた最適な治療計画を提案しています。矯正治療をお考えの方は、まずは無料カウンセリングでご相談ください。

あなたの理想の歯並びと笑顔のために、最適な矯正方法を見つける第一歩を踏み出しましょう。

詳しくは表参道AK歯科・矯正歯科の公式サイトをご覧ください

表参道AK歯科・矯正歯科 院長:小室 敦

院長 小室 敦

https://doctorsfile.jp/h/197421/df/1/

略歴

  • 日本歯科大学 卒業
  • 日本歯科大学附属病院 研修医
  • 都内歯科医院 勤務医
  • 都内インプラントセンター 副院長
  • 都内矯正歯科専門医院 勤務医
  • 都内審美・矯正歯科専門医院 院長

所属団体

  • 日本矯正歯科学会
  • 日本口腔インプラント学会
  • 日本歯周病学会
  • 日本歯科審美学会
  • 日本臨床歯科学会(東京SJCD)
  • 包括的矯正歯科研究会
  • 下間矯正研修会インストラクター
  • レベルアンカレッジシステム(LAS)

参加講習会

  • 口腔インプラント専修医認定100時間コース
  • JIADS(ペリオコース)
  • 下間矯正研修会レギュラーコース
  • 下間矯正研修会アドバンスコース
  • 石井歯内療法研修会
  • SJCDレギュラーコース
  • SJCDマスターコース
  • SJCDマイクロコース
  • コンセプトに基づく包括的矯正治療実践ベーシックコース (綿引 淳一 先生)
  • 新臨床歯科矯正学研修会専門医コース 診断・治療編(石川 晴夫 先生)
  • 新臨床歯科矯正学研修会専門医コース 応用編(石川 晴夫 先生)
  • レベルアンカレッジシステム(LAS)レギュラーコース
  • 他多数参加

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