マウスピース矯正を始めたけれど、正しいケア方法がわからない。毎日使うものだから、清潔に保ちたい。でも、どんな洗浄剤を選べばいいのか迷ってしまう…。
そんな悩みを抱える方は少なくありません。マウスピース矯正は目立たず快適な矯正方法として人気ですが、適切なケアをしないと変色や細菌繁殖の原因になってしまいます。
この記事では、矯正専門医の視点から、マウスピース矯正の洗浄剤選びのポイントと、おすすめの洗浄剤10選、そして正しいケア方法について詳しく解説します。
Contents
- 1 マウスピース矯正の洗浄剤が必要な理由
- 2 マウスピース矯正洗浄剤の選び方
- 3 1. 使用しているマウスピースの種類に合わせる
- 4 2. 洗浄方法と時間で選ぶ
- 5 3. 洗浄・除菌効果で選ぶ
- 6 4. 成分と安全性で選ぶ
- 7 専門医おすすめのマウスピース矯正洗浄剤10選
- 8 1. 井藤漢方製薬 デントウォッシュ
- 9 2. ライオンケミカル スッキリデント
- 10 3. 花王 ピュオーラ
- 11 4. 小林製薬 パーシャルデント マウスピース洗浄剤
- 12 5. JM Ortho リテーナーシャイン
- 13 6. オーラルケア デントクリア
- 14 7. GC ルシェロ マウスピースクリーナー
- 15 8. ブレスマイルクリア
- 16 9. クリスタル・クリーン
- 17 10. プロウォッシュ
- 18 マウスピース矯正の正しい洗浄方法
- 19 基本的な洗浄手順
- 20 洗浄のタイミングと頻度
- 21 洗浄時の注意点
- 22 マウスピース矯正のケアに役立つアイテム
- 23 専用ケース
- 24 超音波洗浄機
- 25 携帯用洗浄キット
- 26 歯間ブラシや矯正用歯ブラシ
- 27 マウスピース矯正中によくある悩みと対処法
- 28 マウスピースが黄ばんでしまった
- 29 マウスピースから嫌な臭いがする
- 30 マウスピースが白く曇ってしまう
- 31 マウスピースの装着感が悪くなった
- 32 まとめ:マウスピース矯正を快適に続けるために
- 33 表参道AK歯科・矯正歯科 院長:小室 敦
マウスピース矯正の洗浄剤が必要な理由
マウスピース矯正を始めたばかりの方は「水洗いだけでは駄目なの?」と思われるかもしれません。
実は、マウスピースは1日に17〜20時間も装着するため、唾液や口腔内の細菌が付着しやすく、単なる水洗いやブラシでは落としきれない汚れが蓄積します。これが変色や口臭、さらには口腔内トラブルの原因となるのです。
専用の洗浄剤を使用することで、以下のメリットが得られます。
- 細菌の繁殖を抑え、口臭を防止できる
- マウスピースの変色や劣化を防ぐことができる
- 装着時の不快感を軽減できる
- マウスピースの寿命を延ばすことができる
私が日々の臨床で見てきた経験からも、適切な洗浄剤を使用している患者さんはマウスピースの状態が良く、矯正治療の効果も安定していることが多いです。
マウスピース矯正洗浄剤の選び方
マウスピース洗浄剤を選ぶ際は、以下の4つのポイントを押さえておくことが大切です。
1. 使用しているマウスピースの種類に合わせる
矯正用リテーナーやナイトガードなど、使用しているマウスピースの種類によって適した洗浄剤が異なります。
矯正用リテーナーやインビザラインなどの医療目的で長期間使用するマウスピースには、変色や素材の劣化を防ぐ成分が配合された洗浄剤がおすすめです。特に金属ワイヤー付きのリテーナーを使用している場合は、「金属変色防止」や「矯正・医療用対応」と記載された製品を選びましょう。
2. 洗浄方法と時間で選ぶ
洗浄剤には大きく分けて「つけ置きタイプ」と「スプレー・泡タイプ」の2種類があります。
つけ置きタイプは自宅での使用に適しており、40〜50℃の温水または冷水に洗浄剤を溶かし、マウスピースを5〜15分浸けるだけで効果的に洗浄できます。汚れや細菌をしっかり除去したい方におすすめです。
一方、泡・スプレータイプは外出先でも手軽に使用できるため、携帯性が求められる場面に最適です。スプレーを直接マウスピースに吹きかけて、指で軽くこすり洗いするだけで短時間でケアができます。
日常的なケアには両方を併用するのが理想的です。つけ置きタイプで定期的に徹底洗浄し、外出時にはスプレータイプで手軽にケアするという使い分けがおすすめです。
3. 洗浄・除菌効果で選ぶ
マウスピースの汚れの種類によって、効果的な洗浄剤の成分が異なります。
- 黄ばみや着色汚れには「漂白活性化剤」配合の洗浄剤
- 細菌対策には「99.9%除菌」などの高い除菌効果を持つ洗浄剤
- 食べ残しやタンパク質汚れには「酵素」配合の洗浄剤
私の臨床経験では、特に長期間マウスピースを使用する患者さんには、漂白効果と除菌効果の両方を備えた洗浄剤をおすすめしています。
4. 成分と安全性で選ぶ
マウスピースは口内に直接触れるものですから、安全性の高い成分を使用した洗浄剤を選ぶことが重要です。
入れ歯洗浄剤とマウスピース洗浄剤は成分や用途に違いがあるため、代用はできません。入れ歯洗浄剤は金属や陶器などに使う想定であるため、漂白成分が強くマウスピースの素材を傷める可能性があります。
マウスピース専用の洗浄剤は、樹脂やポリウレタンなど熱に弱い素材にも対応し、やさしく除菌・消臭を行う処方がされています。
専門医おすすめのマウスピース矯正洗浄剤10選
私が臨床経験と最新の製品情報を基に厳選した、おすすめのマウスピース洗浄剤をご紹介します。
1. 井藤漢方製薬 デントウォッシュ
矯正用リテーナー専用の洗浄剤で、短時間でしっかり洗浄できるのが特徴です。発泡性があり、細部の汚れまで落とせます。漂白剤フリーで素材を傷めにくく、金属部品付きのリテーナーにも安心して使用できます。
私の患者さんからも「使いやすい」「洗浄後のさっぱり感が続く」との声をよく聞きます。
2. ライオンケミカル スッキリデント
矯正用リテーナー・マウスピース専用の洗浄剤です。短時間で効果的に洗浄でき、除菌・消臭効果に優れています。発泡タイプで細部の汚れもしっかり落とせるのが特徴です。
使用感も爽やかで、患者さんからの評判も良い製品です。
3. 花王 ピュオーラ
歯科医院でも推奨されることの多い洗浄剤です。マウスピースの素材を傷めず、効果的に洗浄・除菌します。爽やかな香りで、使用後の清涼感が長続きするのが特徴です。
私の診療所でも患者さんに紹介することが多い製品の一つです。
4. 小林製薬 パーシャルデント マウスピース洗浄剤
小林製薬の技術を活かした高い洗浄力が特徴です。黄ばみや汚れをしっかり落とし、99.9%の除菌効果があります。使いやすい錠剤タイプで、溶けやすく使い勝手が良いです。
5. JM Ortho リテーナーシャイン
矯正歯科医が開発に関わった専用洗浄剤です。マウスピースの透明感を保ちながら、効果的に洗浄します。アップルとライムミントの香りがあり、使用後の爽快感が特徴です。
個包装なので衛生的で、旅行や外出時にも便利に使えます。
6. オーラルケア デントクリア
酵素の力で汚れを分解する洗浄剤です。タンパク質汚れに効果的で、マウスピースの透明感を長く保てます。低刺激処方で敏感な方にもおすすめです。
7. GC ルシェロ マウスピースクリーナー
歯科材料メーカーとして信頼のあるGCの製品です。泡タイプで手軽に使用でき、外出先でも便利です。除菌効果と爽やかな使用感が特徴です。
8. ブレスマイルクリア
口臭予防にも効果的な洗浄剤です。除菌だけでなく消臭効果も高く、マウスピース装着時の不快感を軽減します。泡立ちが少なく、すすぎやすいのも特徴です。
9. クリスタル・クリーン
海外でも人気の洗浄剤です。強力な洗浄力で頑固な汚れも落とし、マウスピースの透明感を復活させます。長期使用のマウスピースの定期的なケアにおすすめです。
10. プロウォッシュ
歯科技工士が推奨する洗浄剤です。プロ仕様の洗浄力で、日常のケアから頑固な汚れまで対応します。マウスピースの素材を傷めにくい処方で、長期使用にも適しています。
どうですか? 自分に合った洗浄剤は見つかりましたか?
マウスピース矯正の正しい洗浄方法
洗浄剤を選んだら、次は正しい洗浄方法を身につけましょう。
基本的な洗浄手順
マウスピースの洗浄は以下の5ステップで行います。
- マウスピースを取り外し、まず流水でざっと洗い流す
- 容器に40〜50℃の温水または冷水を入れ、洗浄剤を溶かす
- マウスピースを5〜15分(製品の推奨時間に従う)浸ける
- 取り出して流水でしっかりすすぐ
- 清潔なタオルやペーパータオルで水気を拭き取る
泡・スプレータイプの場合は、マウスピースに直接スプレーし、指で軽くこすった後、流水ですすぐだけでOKです。
洗浄のタイミングと頻度
マウスピースの洗浄頻度は、基本的に毎日行うことをおすすめします。
朝起きたとき、食後にマウスピースを装着する前、就寝前など、1日に複数回のケアが理想的です。特に就寝前のケアは重要で、夜間は唾液の分泌が減少するため、清潔な状態で装着することが大切です。
また、週に1〜2回は専用の洗浄剤を使った徹底洗浄を行いましょう。
洗浄時の注意点
マウスピースの洗浄時には以下の点に注意しましょう。
- 熱湯での洗浄は避ける(変形の原因になります)
- 歯磨き粉での洗浄は避ける(研磨剤が含まれており、傷の原因になります)
- 洗浄後はしっかり乾かす(湿ったままだと細菌が繁殖しやすくなります)
- 入れ歯洗浄剤を代用しない(マウスピースの素材を傷める可能性があります)
これらの点に気をつけることで、マウスピースを長く清潔に使用することができます。
マウスピース矯正のケアに役立つアイテム
洗浄剤以外にも、マウスピース矯正のケアに役立つアイテムをご紹介します。
専用ケース
マウスピースを外したときに保管するケースは、清潔さを保つために重要です。通気性が良く、水切れの良いケースを選びましょう。
また、外出時にはコンパクトで持ち運びやすいケースがあると便利です。
超音波洗浄機
より徹底的な洗浄を望む方には、超音波洗浄機がおすすめです。超音波の振動で、目に見えない細部の汚れまで落とすことができます。
家庭用の小型超音波洗浄機は比較的手頃な価格で購入でき、マウスピースだけでなくメガネや貴金属の洗浄にも使えるため、一家に一台あると便利です。
携帯用洗浄キット
外出先でもマウスピースを清潔に保つために、携帯用の洗浄キットがあると便利です。コンパクトなケース、携帯用の洗浄スプレー、清潔なタオルなどをセットにしておくと安心です。
特に食事の多い外出時や旅行時には、このようなキットがあると快適にマウスピース矯正を続けられます。
歯間ブラシや矯正用歯ブラシ
マウスピースを装着する前に、歯をしっかり清掃することも大切です。歯間ブラシや矯正用の歯ブラシを使って、食べかすや歯垢をしっかり除去しましょう。
これにより、マウスピースの汚れを予防し、虫歯や歯周病のリスクも低減できます。
マウスピース矯正中によくある悩みと対処法
マウスピース矯正中には、様々な悩みが生じることがあります。ここでは、私の診療で患者さんからよく聞かれる悩みと、その対処法をご紹介します。
マウスピースが黄ばんでしまった
マウスピースの黄ばみは、コーヒーや紅茶、カレーなどの色素の強い食べ物や飲み物が原因となることが多いです。
対処法としては、漂白効果のある洗浄剤を使用して定期的に洗浄することが効果的です。また、色の濃い飲食物を摂取した後は、すぐに口をすすいでからマウスピースを装着するようにしましょう。
あまりにも黄ばみがひどい場合は、歯科医院での専門的なクリーニングを受けるか、新しいマウスピースに交換することも検討してください。
マウスピースから嫌な臭いがする
マウスピースの臭いは、細菌の繁殖が主な原因です。特に湿度の高い環境や、洗浄が不十分な場合に発生しやすくなります。
毎日の丁寧な洗浄と、週に1〜2回の除菌洗浄剤を使った徹底洗浄が効果的です。また、マウスピースを外した後は、乾燥させてから保管ケースに入れるようにしましょう。
私が実際に診た患者さんの中には、マウスピースの臭いに悩んでいたものの、適切な洗浄方法を実践することで問題が解決したケースが多くあります。
マウスピースが白く曇ってしまう
マウスピースの白い曇りは、水中のミネラル成分(水垢)や、歯磨き粉の残留物が原因となることがあります。
対処法としては、専用の洗浄剤でつけ置き洗いをすることが効果的です。また、マウスピースを洗う際は、歯磨き粉を使わず、中性の石鹸や専用の洗浄剤を使用しましょう。
頑固な曇りには、歯科医院での専門的なクリーニングが必要な場合もあります。
マウスピースの装着感が悪くなった
マウスピースの装着感が悪くなる原因としては、変形や破損、また口腔内の状態変化などが考えられます。
熱湯での洗浄や、強い力での取り扱いはマウスピースの変形につながるため避けましょう。また、定期的に歯科医院を受診し、マウスピースの適合状態をチェックしてもらうことも大切です。
装着感に問題がある場合は、自己判断せず、担当の歯科医師に相談することをおすすめします。
まとめ:マウスピース矯正を快適に続けるために
マウスピース矯正は、目立ちにくく快適な矯正方法として多くの方に選ばれています。しかし、その効果を最大限に発揮し、快適に治療を続けるためには、適切なケアが欠かせません。
この記事でご紹介した洗浄剤選びのポイントや正しいケア方法を実践することで、マウスピースを清潔に保ち、変色や臭いなどのトラブルを防ぐことができます。
特に重要なのは、毎日の基本的なケアと、週に1〜2回の徹底洗浄を習慣化することです。また、マウスピースに関する悩みや不安があれば、早めに担当の歯科医師に相談することをおすすめします。
マウスピース矯正は、適切なケアと定期的なメンテナンスによって、より効果的で快適な治療となります。美しい歯並びを手に入れるための大切なステップとして、ぜひ正しいケア方法を実践してみてください。
矯正治療についてさらに詳しく知りたい方は、表参道AK歯科・矯正歯科にお気軽にご相談ください。経験豊富な矯正専門医が、あなたに最適な治療法をご提案いたします。
表参道AK歯科・矯正歯科 院長:小室 敦
https://doctorsfile.jp/h/197421/df/1/
略歴
- 日本歯科大学 卒業
- 日本歯科大学附属病院 研修医
- 都内歯科医院 勤務医
- 都内インプラントセンター 副院長
- 都内矯正歯科専門医院 勤務医
- 都内審美・矯正歯科専門医院 院長
所属団体
- 日本矯正歯科学会
- 日本口腔インプラント学会
- 日本歯周病学会
- 日本歯科審美学会
- 日本臨床歯科学会(東京SJCD)
- 包括的矯正歯科研究会
- 下間矯正研修会インストラクター
- レベルアンカレッジシステム(LAS)
参加講習会
- 口腔インプラント専修医認定100時間コース
- JIADS(ペリオコース)
- 下間矯正研修会レギュラーコース
- 下間矯正研修会アドバンスコース
- 石井歯内療法研修会
- SJCDレギュラーコース
- SJCDマスターコース
- SJCDマイクロコース
- コンセプトに基づく包括的矯正治療実践ベーシックコース (綿引 淳一 先生)
- 新臨床歯科矯正学研修会専門医コース 診断・治療編(石川 晴夫 先生)
- 新臨床歯科矯正学研修会専門医コース 応用編(石川 晴夫 先生)
- レベルアンカレッジシステム(LAS)レギュラーコース
- 他多数参加

