インプラントとブリッジの違い〜選択基準と長期的メリット

執筆者情報:小室 敦

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インプラントとブリッジの違い〜選択基準と長期的メリット

歯を失ってしまった時、どのような治療法を選ぶべきか悩まれる方は多いのではないでしょうか。特に「インプラント」と「ブリッジ」は、失った歯の機能を回復する代表的な治療法として広く知られています。

しかし、それぞれの治療法には特徴があり、患者さまの口腔内の状態や生活スタイル、予算などによって最適な選択肢が変わってきます。

この記事では、インプラントとブリッジの基本的な違いから、それぞれのメリット・デメリット、そして長期的な視点から見た選択基準までを詳しく解説します。

あなたにとって最適な治療法を見つける手助けになれば幸いです。

インプラントとブリッジの基本的な違い

まずは、インプラントとブリッジの基本的な違いについて説明します。

インプラントは、失った歯の代わりに人工の歯根(チタン製)を顎の骨に埋め込み、その上に人工の歯を装着する治療法です。一方、ブリッジは失った歯の両隣にある健康な歯を削り、それらを支えとして人工の歯を橋渡しするように固定する治療法です。

最も大きな違いは、インプラントが周囲の歯に負担をかけないのに対し、ブリッジは両隣の歯に負担がかかる点です。これは長期的な歯の健康を考える上で非常に重要なポイントとなります。

どう思いますか? 自分の歯を削ることなく治療できる方法と、健康な歯を削って橋渡しする方法、直感的にはどちらが良さそうに感じますか?

治療方法の違い

インプラント治療は外科手術を伴います。まず局所麻酔をして歯肉を切開し、顎の骨にドリルで穴を開け、そこにチタン製のインプラント体を埋め込みます。その後、骨とインプラントが結合するまで3〜6ヶ月ほど待ち、最終的に人工の歯を装着します。

一方、ブリッジ治療では外科手術は必要ありません。失った歯の両隣の歯を支台歯として全周にわたって1〜1.5mm程度削り、型取りをして作製した連結した人工歯(ブリッジ)を装着します。治療期間は2〜3週間程度と比較的短期間で済みます。

見た目と機能性の違い

審美性については、どちらも人工歯の素材によって変わります。セラミックなどの白い素材を選べば、天然歯に近い見た目を実現できます。ただし、保険適用のブリッジは素材が限られるため、奥歯の場合は銀歯になることがあります。

咀嚼能力(物を噛み砕く能力)については、インプラントは天然歯の約80%、ブリッジは約60%と言われています。インプラントのほうが咀嚼能力が高いため、硬いものでも比較的しっかり噛むことができます。

インプラントのメリットとデメリット

インプラント治療には、多くのメリットがありますが、同時にいくつかのデメリットも存在します。それぞれを詳しく見ていきましょう。

インプラントの主なメリット

インプラントの最大のメリットは、周囲の健康な歯を削る必要がないことです。これにより、将来的に他の歯のトラブルリスクを減らすことができます。

また、インプラントは顎の骨に直接固定されるため、咀嚼力が天然歯に近く、硬いものでもしっかり噛むことができます。さらに、インプラントは顎の骨に適度な刺激を与えるため、骨の吸収(痩せていくこと)を防ぐ効果もあります。

見た目も自然で、違和感なく笑ったり話したりすることができます。特に前歯のインプラントは審美性に優れており、周囲の人に気づかれることはほとんどありません。

インプラントのデメリット

インプラントの最大のデメリットは、外科手術が必要なことです。手術に対する不安や恐怖感から、治療をためらう方も少なくありません。

また、治療期間が長いことも特徴です。インプラント体と骨が結合するまでに3〜6ヶ月かかるため、全体の治療期間は半年〜1年程度になることが一般的です。

費用面では、インプラント治療は保険適用外の自費診療となるため、1本あたり30〜50万円程度かかります。複数の歯を失っている場合は、さらに高額になります。

さらに、顎の骨の量が少ない場合や、糖尿病などの全身疾患がある場合は、治療が難しいこともあります。

ブリッジのメリットとデメリット

次に、ブリッジ治療のメリットとデメリットについて詳しく見ていきましょう。

ブリッジの主なメリット

ブリッジの最大のメリットは、外科手術が不要なことです。手術に対する不安や恐怖がある方にとって、大きな安心材料となります。

また、治療期間が短いことも特徴です。通常、2〜3週間程度で治療が完了するため、早く歯の機能を回復したい方に適しています。

費用面では、保険適用のブリッジであれば、1万円程度で治療を受けることができます。経済的な負担を抑えたい方にとっては、大きなメリットとなるでしょう。

さらに、インプラントのように骨の量が少ないことが治療の障害になることはなく、全身疾患があっても比較的安全に治療を受けることができます。

ブリッジのデメリット

ブリッジの最大のデメリットは、健康な歯を削る必要があることです。これにより、将来的に支台歯となった歯がトラブルを起こすリスクが高まります。

また、ブリッジの下の歯茎は清掃が難しく、歯周病や虫歯のリスクが高まる可能性があります。適切な口腔ケアが欠かせません。

咀嚼力もインプラントに比べると劣り、硬いものを噛むと支台歯に負担がかかります。さらに、ブリッジの寿命は10年程度と言われており、インプラントより短い傾向にあります。

保険適用のブリッジは素材が限られるため、特に奥歯の場合は銀歯になることが多く、審美性に劣ることがあります。

長期的な視点から見た選択基準

インプラントとブリッジ、どちらを選ぶべきか迷った時は、長期的な視点から考えることが大切です。

費用対効果を考える

初期費用だけを見ると、ブリッジの方が圧倒的に安いです。しかし、長期的な視点で考えると、必ずしもそうとは言えません。

ブリッジの寿命は平均10年程度と言われており、その後は作り直しが必要になることが多いです。一方、インプラントは適切なケアを行えば20年以上使用できるケースも少なくありません。

また、ブリッジの支台歯がトラブルを起こした場合、新たな治療が必要になり、結果的に費用がかさむことがあります。長期的な費用対効果を考えると、一概にブリッジが経済的とは言えないのです。

口腔内の状態による選択

インプラントとブリッジ、どちらが適しているかは、患者さまの口腔内の状態によっても変わってきます。

例えば、失った歯の両隣の歯が健康であれば、それらを削ってブリッジにするよりも、インプラントを選択する方が歯の保存という観点からは理想的です。

一方、両隣の歯が既に大きな詰め物や被せ物をしている場合は、ブリッジの支台歯として活用することで、効率的な治療が可能になることもあります。

また、顎の骨の量が少ない場合や、糖尿病などの全身疾患がある場合は、インプラント治療が難しいこともあり、ブリッジが選択肢となります。

年齢や生活スタイルを考慮する

年齢や生活スタイルも、治療法を選ぶ上で重要な要素です。

若い方の場合、長期的な歯の健康を考えると、健康な歯を削らないインプラントが理想的です。一方、高齢の方や全身疾患をお持ちの方は、外科手術のリスクを考慮し、ブリッジを選択することもあります。

また、仕事や生活の都合で長期間の治療が難しい方は、短期間で終わるブリッジが適していることもあります。

このように、年齢や生活スタイル、健康状態などを総合的に考慮して、最適な治療法を選ぶことが大切です。

インプラントとブリッジの適切なケア方法

どちらの治療法を選んだ場合でも、長持ちさせるためには適切なケアが欠かせません。

インプラントのケア

インプラントは天然歯と同様のケアが基本ですが、インプラント周囲炎(インプラント周囲の炎症)に注意が必要です。

毎日の丁寧な歯磨きに加え、歯間ブラシやデンタルフロスを使用して、インプラントと歯茎の境目をしっかり清掃しましょう。

また、定期的な歯科検診も重要です。3〜6ヶ月に一度は歯科医院でプロフェッショナルクリーニングを受け、インプラントの状態をチェックしてもらうことをおすすめします。

ブリッジのケア

ブリッジのケアで最も重要なのは、ブリッジの下の歯茎の清掃です。この部分は通常の歯ブラシでは届きにくいため、専用のブリッジフロスや歯間ブラシを使用して清掃する必要があります。

また、支台歯の境目も虫歯になりやすいポイントですので、丁寧なケアが必要です。

インプラント同様、定期的な歯科検診も欠かせません。特にブリッジの場合は、支台歯の状態をチェックすることが重要です。

まとめ:あなたに最適な選択は?

インプラントとブリッジ、どちらが優れているというわけではなく、患者さまの状態や希望によって最適な選択肢は変わります。

インプラントは、周囲の歯に負担をかけず、咀嚼力も高く、長期的な視点で見ると理想的な治療法と言えます。一方、外科手術が必要で費用も高いというデメリットがあります。

ブリッジは、外科手術が不要で治療期間も短く、費用も抑えられるというメリットがあります。しかし、健康な歯を削る必要があり、長期的には支台歯にトラブルが生じるリスクがあります。

最終的には、歯科医師との十分な相談の上で、あなたの口腔内の状態、生活スタイル、予算などを総合的に考慮して、最適な治療法を選択することが大切です。

当院では、インプラント治療をはじめ、様々な歯科治療に対応しております。歯の治療でお悩みの方は、ぜひ一度ご相談ください。経験豊富な歯科医師が、あなたに最適な治療法をご提案いたします。

詳しくは表参道AK歯科・矯正歯科のホームページをご覧ください

表参道AK歯科・矯正歯科 院長:小室 敦

院長 小室 敦

https://doctorsfile.jp/h/197421/df/1/

略歴

  • 日本歯科大学 卒業
  • 日本歯科大学附属病院 研修医
  • 都内歯科医院 勤務医
  • 都内インプラントセンター 副院長
  • 都内矯正歯科専門医院 勤務医
  • 都内審美・矯正歯科専門医院 院長

所属団体

  • 日本矯正歯科学会
  • 日本口腔インプラント学会
  • 日本歯周病学会
  • 日本歯科審美学会
  • 日本臨床歯科学会(東京SJCD)
  • 包括的矯正歯科研究会
  • 下間矯正研修会インストラクター
  • レベルアンカレッジシステム(LAS)

参加講習会

  • 口腔インプラント専修医認定100時間コース
  • JIADS(ペリオコース)
  • 下間矯正研修会レギュラーコース
  • 下間矯正研修会アドバンスコース
  • 石井歯内療法研修会
  • SJCDレギュラーコース
  • SJCDマスターコース
  • SJCDマイクロコース
  • コンセプトに基づく包括的矯正治療実践ベーシックコース (綿引 淳一 先生)
  • 新臨床歯科矯正学研修会専門医コース 診断・治療編(石川 晴夫 先生)
  • 新臨床歯科矯正学研修会専門医コース 応用編(石川 晴夫 先生)
  • レベルアンカレッジシステム(LAS)レギュラーコース
  • 他多数参加

 

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