マウスピース矯正の真実〜知っておくべきメリットとデメリット完全ガイド

執筆者情報:小室 敦

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マウスピース矯正の真実〜知っておくべきメリットとデメリット完全ガイド

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歯並びを美しく整えたいと考えたとき、多くの方が気になるのがマウスピース矯正ではないでしょうか。透明で目立たない矯正装置として人気を集めるマウスピース矯正ですが、実際のところ、どんなメリットとデメリットがあるのでしょうか。

この記事では、矯正歯科の専門家として、マウスピース矯正の真実をお伝えします。メリットだけでなく、あまり語られないデメリットや注意点も含めて、マウスピース矯正を検討されている方に役立つ情報をご紹介します。

マウスピース矯正は、見た目の美しさを追求する方にとって魅力的な選択肢です。しかし、すべての方に適しているわけではありません。あなたの歯並びや生活スタイルに合った矯正方法を選ぶために、ぜひ最後までお読みください。

マウスピース矯正とは?基本的な仕組みと特徴

マウスピース矯正は、透明な熱可塑性プラスチック製のマウスピースを使って歯を少しずつ動かしていく矯正方法です。従来のワイヤー矯正とは異なり、金属のブラケットやワイヤーを使用しません。

マウスピース矯正では、3Dスキャナーで口腔内をスキャンし、コンピューター上で治療計画を立てます。その計画に基づいて、歯の動きに合わせた複数のマウスピースを作製します。患者さんは1〜2週間ごとにマウスピースを交換しながら、少しずつ理想の歯並びに近づけていきます。

マウスピース矯正の代表的なブランドとしては「インビザライン」が有名です。世界的なシェアが多く、信頼度の高いマウスピース矯正システムとして知られています。

歯が動く仕組み

マウスピース矯正で歯が動く仕組みは、基本的には従来のワイヤー矯正と同じです。歯に持続的な力を加えることで、歯根膜という組織を介して歯槽骨(歯を支える骨)の吸収と添加を促し、歯を少しずつ移動させます。

マウスピースは、現在の歯の位置から理想の位置へと少しずつ変化するように設計されています。1つのマウスピースで約0.25〜0.3mmほど歯を動かし、次のマウスピースに交換することで、段階的に歯を移動させていきます。

この方法は、一度に大きな力をかけるのではなく、小さな力を継続的にかけることで、痛みを軽減しながら効果的に歯を動かすことができるのです。

マウスピース矯正の5つの大きなメリット

マウスピース矯正には、従来のワイヤー矯正と比較して多くのメリットがあります。特に目立たない点や生活への影響が少ない点が、多くの方に選ばれる理由となっています。

1. 見た目が目立たない

マウスピース矯正の最大のメリットは、透明なマウスピースを使用するため、装着していてもほとんど目立たないことです。人前に立つ機会が多い方や、見た目を気にする方にとって、これは大きな魅力となります。

仕事や就職活動、結婚式など、人生の重要なイベントでも気兼ねなく過ごせるのは、大きな利点です。周囲の人からは「矯正しているの?」と気づかれないことも多く、精神的な負担が少ないのも特徴です。

2. 取り外しができる

マウスピース矯正は自分で取り外しができるため、食事や歯磨きの際に装置を外すことができます。これにより、食事の制限がなく、好きなものを自由に食べられます。

また、歯磨きもいつも通りに行えるため、矯正治療中でも口腔内を清潔に保ちやすく、虫歯や歯周病のリスクを低減できます。

特別なイベントや写真撮影など、短時間だけ外したい場合にも対応できるのは、大きなメリットと言えるでしょう。

3. 痛みや違和感が少ない

マウスピース矯正は、従来のワイヤー矯正と比べて痛みや違和感が少ないと言われています。金属のブラケットやワイヤーがないため、口内炎ができるリスクも低減されます。

マウスピースは口にフィットするよう設計されているため、装着時の違和感も比較的少なめです。また、一度に大きな力をかけるのではなく、少しずつ歯を動かしていくため、痛みも軽減されます。

ただし、新しいマウスピースに交換した直後は、多少の圧迫感や違和感を感じることがあります。これは歯が動いている証拠なので、心配はいりません。

4. 通院回数が少ない

マウスピース矯正では、複数のマウスピースをまとめて渡されることが多いため、通院頻度は約6〜8週間に1回程度と、従来のワイヤー矯正(約4週間に1回)よりも少なくなります。

忙しい方や、遠方から通院される方にとって、通院回数が少ないことは大きなメリットです。時間的な負担が軽減され、仕事や学業との両立がしやすくなります。

5. 治療計画が視覚的にわかりやすい

マウスピース矯正では、治療開始前にコンピューターシミュレーションで治療後の歯並びを確認できます。これにより、治療の目標や進行状況が視覚的に理解しやすく、モチベーションの維持にもつながります。

また、治療の各段階でどのように歯が動いていくのかも事前に確認できるため、治療への不安が軽減されるというメリットもあります。

知っておくべきマウスピース矯正の5つのデメリット

マウスピース矯正には多くのメリットがある一方で、いくつかのデメリットや注意点も存在します。治療を検討する際には、これらのデメリットもしっかりと理解しておくことが大切です。

1. 装着時間の遵守が必須

マウスピース矯正の最大のデメリットは、1日20時間以上の装着が必要なことです。食事や歯磨きの時以外は常に装着する必要があり、この装着時間を守らないと治療効果が十分に得られません。

自分で取り外しができる便利さがある反面、装着の管理は患者さん自身の自己管理能力に委ねられます。忙しい日々の中で、食事後にすぐ装着するという習慣を維持するのは、想像以上に大変かもしれません。

特に、外食が多い方や、頻繁に間食をする習慣がある方は、装着時間の確保が難しくなる可能性があります。

2. 歯科医師の経験と技術に左右される

マウスピース矯正の治療効果は、担当する歯科医師の経験と技術に大きく左右されます。インビザラインなどのマウスピース矯正システムは、使用するだけで誰でも同じ結果が得られるわけではありません。

治療計画の立案や、必要に応じた調整(アタッチメントの配置など)には、専門的な知識と経験が必要です。経験の少ない歯科医師では、複雑な症例に対応できない場合もあります。

そのため、マウスピース矯正を検討する際は、実績豊富な歯科医師を選ぶことが重要です。症例数や経験年数、専門資格などをチェックしましょう。

3. 適応症例に限りがある

マウスピース矯正は、すべての歯列不正に対応できるわけではありません。特に重度の不正咬合や、大きな回転を伴う歯の移動、垂直的な歯の移動(圧下・挺出)などは、マウスピース単独での治療が難しい場合があります。

2024年のアメリカ矯正学会では、「アライナー矯正単独では、非常に簡単なケースを選ばないと矯正治療として十分な結果を得るのが難しい」という発表もありました。複雑な症例では、従来のワイヤー矯正や、ワイヤーとマウスピースを併用するハイブリッド矯正が必要になることもあります。

自分の症例がマウスピース矯正に適しているかどうかは、専門医の診断を受けることが大切です。

4. 追加調整(リファインメント)が必要になることが多い

マウスピース矯正では、当初の治療計画通りに歯が動かないことも少なくありません。2020年に発表された研究によると、マウスピース矯正の平均精度は約50%とされています。つまり、計画通りに歯が動くのは半分程度ということです。

そのため、多くの場合、治療途中で追加のマウスピース(リファインメント)が必要になります。これにより、当初予定していた治療期間が延長されることもあります。

ただし、リファインメントを含めた場合の治療精度は70〜95%と高くなるため、最終的には満足のいく結果が得られることが多いです。

5. 管理や衛生面の負担がある

マウスピース矯正では、マウスピースの管理や衛生面での負担があります。食事のたびにマウスピースを外し、食後に歯磨きをしてから再装着する必要があります。外出先では、この一連の作業が面倒に感じることもあるでしょう。

また、マウスピース自体の清掃も必要です。適切に洗浄しないと、細菌が繁殖したり、変色したりする可能性があります。

さらに、マウスピースを紛失するリスクもあります。特に外食時や旅行先では、うっかり捨ててしまったり、忘れたりすることもあるため、注意が必要です。

マウスピース矯正の成功率と効果を左右する要因

マウスピース矯正の成功率は、さまざまな要因によって左右されます。治療効果を最大化するためには、これらの要因を理解し、適切に対応することが重要です。

装着時間の遵守

マウスピース矯正の成功において最も重要な要素の一つが、装着時間の遵守です。1日20時間以上の装着が推奨されており、この時間を守らないと歯の移動が計画通りに進まず、治療効果が十分に得られません。

食事や歯磨きの時間を考えると、起きている時間のほとんどをマウスピースを装着した状態で過ごす必要があります。これは想像以上に大変なことかもしれません。

特に社会人の方は、会食や接待など、マウスピースを長時間外す機会が多いかもしれません。そのような場合でも、できるだけ早く装着し直すよう心がけることが大切です。

歯科医師の経験と技術

マウスピース矯正の成功には、歯科医師の経験と技術が大きく影響します。経験豊富な歯科医師は、適切な治療計画を立てるだけでなく、治療中の問題にも適切に対応できます。

特に重要なのは、アタッチメント(歯の表面に付ける小さな突起)の配置や、必要に応じた追加調整(リファインメント)のタイミングなど、細かな調整ができるかどうかです。

矯正治療の実績が豊富で、特にマウスピース矯正の症例数が多い歯科医師を選ぶことが、治療成功の鍵となります。

症例の複雑さ

マウスピース矯正の成功率は、症例の複雑さによっても大きく変わります。軽度から中等度の歯列不正であれば、マウスピース矯正で十分な効果が期待できますが、重度の不正咬合や複雑な歯の移動が必要な場合は、マウスピース単独での治療が難しいこともあります。

例えば、大きな回転を伴う歯の移動や、垂直的な歯の移動(圧下・挺出)、骨格的な問題を伴う不正咬合などは、マウスピース矯正の限界を超える場合があります。

自分の症例がマウスピース矯正に適しているかどうかは、専門医の診断を受けることが重要です。

口腔内の健康状態

矯正治療を成功させるためには、口腔内の健康状態も重要な要素です。虫歯や歯周病がある場合は、まずそれらの治療を行ってから矯正治療を開始する必要があります。

また、矯正治療中も定期的な歯科検診を受け、口腔内の健康を維持することが大切です。特にマウスピース矯正では、マウスピースの内側に食べかすや細菌が溜まりやすいため、より丁寧な口腔ケアが求められます。

マウスピース矯正の費用と期間

マウスピース矯正を検討する際、気になるのが費用と治療期間ではないでしょうか。これらは症例の複雑さや歯科医院によって異なりますが、一般的な目安をご紹介します。

費用の相場

マウスピース矯正の費用は、全体矯正(上下の歯全体を矯正する場合)で約60万〜100万円が一般的な相場です。部分矯正(前歯など一部の歯のみを矯正する場合)であれば、約10万〜40万円程度となります。

この費用には、初診料、検査料、マウスピース代、調整料などが含まれます。ただし、歯科医院によって料金体系は異なり、調整料や保定装置費用が別途かかる場合もあります。

料金体系が明確な「トータルフィー制」を採用している医院では、治療開始前に総額が提示されるため、予算を立てやすいというメリットがあります。

治療期間の目安

マウスピース矯正の治療期間は、症例の複雑さによって大きく異なります。軽度の歯列不正であれば約6ヶ月〜1年、中等度から重度の場合は1年〜3年程度かかることが一般的です。

ただし、これはあくまで目安であり、装着時間の遵守状況や個人差によって変わります。また、治療途中で追加調整(リファインメント)が必要になった場合は、当初予定していた期間よりも延長されることがあります。

保険適用について

マウスピース矯正は、基本的に保険適用外の自費診療となります。ただし、顎変形症など、一部の症例では保険が適用される場合もあります。

多くの歯科医院では、分割払いやデンタルローンなどの支払い方法を用意しています。月々の負担を抑えながら治療を受けることも可能ですので、気になる方は歯科医院に相談してみましょう。

マウスピース矯正を成功させるためのアドバイス

マウスピース矯正を成功させるためには、いくつかのポイントを押さえることが重要です。ここでは、治療をスムーズに進め、満足のいく結果を得るためのアドバイスをご紹介します。

信頼できる歯科医師を選ぶ

マウスピース矯正の成功には、経験豊富な歯科医師の選択が不可欠です。矯正治療、特にマウスピース矯正の実績が豊富な歯科医師を選びましょう。

歯科医院のホームページで症例数や歯科医師の経歴(矯正治療の経験年数、認定医・専門医の資格など)を確認することが大切です。また、複数の歯科医院でカウンセリングを受け、比較検討することもおすすめします。

信頼関係を築ける歯科医師かどうかも重要なポイントです。疑問や不安に丁寧に答えてくれる、説明がわかりやすいなど、コミュニケーションがスムーズに取れる歯科医師を選びましょう。

装着時間を守る習慣づけ

マウスピース矯正を成功させるためには、1日20時間以上の装着を守ることが最も重要です。これを習慣化するためのコツをいくつかご紹介します。

まず、食事の時間を決めて、だらだら食べる習慣を避けましょう。また、外出先でもすぐに歯磨きができるよう、携帯用の歯ブラシセットを持ち歩くことをおすすめします。

装着時間を記録するアプリを活用するのも効果的です。マウスピースを外した時間と装着した時間を記録することで、1日の装着時間を把握しやすくなります。

定期的なメンテナンスと歯科検診

矯正治療中も、定期的な歯科検診を受けることが大切です。虫歯や歯周病の早期発見・早期治療により、矯正治療を円滑に進めることができます。

また、マウスピースの状態や歯の動きを確認するため、歯科医師の指示に従って定期的に通院しましょう。問題があれば早めに相談することで、治療の遅延を防ぐことができます。

マウスピースのケア方法

マウスピースを清潔に保つことも、治療を成功させるポイントの一つです。マウスピースの洗浄方法としては、専用の洗浄剤を使用するか、中性洗剤で優しく洗うのがおすすめです。

熱湯や歯磨き粉での洗浄は、マウスピースを変形させたり傷つけたりする可能性があるため避けましょう。また、マウスピースを外した際は、専用のケースに保管することで、紛失や破損を防ぐことができます。

まとめ:マウスピース矯正は自分に合っている?

マウスピース矯正は、透明で目立たない、取り外しができるなど多くのメリットがある一方で、装着時間の遵守が必須、適応症例に限りがあるなどのデメリットも存在します。

自分に合った矯正方法を選ぶためには、自分の歯並びの状態、生活スタイル、予算などを総合的に考慮することが大切です。また、経験豊富な歯科医師に相談し、適切なアドバイスを受けることも重要です。

マウスピース矯正が向いている方は、以下のような特徴があります:

  • 見た目を重視する方
  • 食事の制限を避けたい方
  • 自己管理能力が高く、装着時間を守れる方
  • 軽度から中等度の歯列不正の方

一方、以下のような方は、従来のワイヤー矯正やハイブリッド矯正の方が適している可能性があります:

  • 重度の不正咬合がある方
  • 自己管理が苦手で、装着時間を守るのが難しい方
  • 複雑な歯の移動が必要な方

最終的には、専門医の診断を受け、自分に最適な矯正方法を選ぶことが大切です。無料カウンセリングを活用して、複数の歯科医院で相談することもおすすめします。

マウスピース矯正で美しい歯並びを手に入れ、自信に満ちた笑顔を取り戻しましょう。

詳しい情報や無料カウンセリングについては、表参道AK歯科・矯正歯科にお問い合わせください。経験豊富な矯正専門医が、あなたに最適な矯正プランをご提案いたします。

表参道AK歯科・矯正歯科 院長:小室 敦

院長 小室 敦

https://doctorsfile.jp/h/197421/df/1/

略歴

  • 日本歯科大学 卒業
  • 日本歯科大学附属病院 研修医
  • 都内歯科医院 勤務医
  • 都内インプラントセンター 副院長
  • 都内矯正歯科専門医院 勤務医
  • 都内審美・矯正歯科専門医院 院長

所属団体

  • 日本矯正歯科学会
  • 日本口腔インプラント学会
  • 日本歯周病学会
  • 日本歯科審美学会
  • 日本臨床歯科学会(東京SJCD)
  • 包括的矯正歯科研究会
  • 下間矯正研修会インストラクター
  • レベルアンカレッジシステム(LAS)

参加講習会

  • 口腔インプラント専修医認定100時間コース
  • JIADS(ペリオコース)
  • 下間矯正研修会レギュラーコース
  • 下間矯正研修会アドバンスコース
  • 石井歯内療法研修会
  • SJCDレギュラーコース
  • SJCDマスターコース
  • SJCDマイクロコース
  • コンセプトに基づく包括的矯正治療実践ベーシックコース (綿引 淳一 先生)
  • 新臨床歯科矯正学研修会専門医コース 診断・治療編(石川 晴夫 先生)
  • 新臨床歯科矯正学研修会専門医コース 応用編(石川 晴夫 先生)
  • レベルアンカレッジシステム(LAS)レギュラーコース
  • 他多数参加

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日付:  

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