執筆者情報:小室 敦

2025.09.29
インプラントとブリッジの違い〜選択基準と長期的メリット
歯を失ってしまった時、どのような治療法を選ぶべきか悩まれる方は多いのではないでしょうか。特に「インプラント」と「ブリッジ」は、失った歯の機能を回復する代表的な治療法として広く知られています。 しかし、それぞれの治療法には特徴があり、患者さまの口腔内の状態や生活スタイル、予算などによって最適な選択肢が変わってきます。 この記事では、インプラントとブリッジの基本的な違いから、それぞれのメリット・デメリット、そして長期的な視点から見た選択基準までを詳しく解説します。 あなたにとって最適な治療法を見つける手助けになれば幸いです。 インプラントとブリッジの基本的な違い まずは、インプラントとブリッジの基本的な違いについて説明します。 インプラントは、失った歯の代わりに人工の歯根(チタン製)を顎の骨に埋め込み、その上に人工の歯を装着する治療法です。一方、ブリッジは失った歯の両隣にある健康な歯を削り、それらを支えとして人工の歯を橋渡しするように固定する治療法です。 最も大きな違いは、インプラントが周囲の歯に負担をかけないのに対し、ブリッジは両隣の歯に負担がかかる点です。これは長期的な歯の健康を考える上で非常に重要なポイントとなります。 どう思いますか? 自分の歯を削ることなく治療できる方法と、健康な歯を削って橋渡しする方法、直感的にはどちらが良さそうに感じますか? 治療方法の違い インプラント治療は外科手術を伴います。まず局所麻酔をして歯肉を切開し、顎の骨にドリルで穴を開け、そこにチタン製のインプラント体を埋め込みます。その後、骨とインプラントが結合するまで3〜6ヶ月ほど待ち、最終的に人工の歯を装着します。 一方、ブリッジ治療では外科手術は必要ありません。失った歯の両隣の歯を支台歯として全周にわたって1〜1.5mm程度削り、型取りをして作製した連結した人工歯(ブリッジ)を装着します。治療期間は2〜3週間程度と比較的短期間で済みます。 見た目と機能性の違い 審美性については、どちらも人工歯の素材によって変わります。セラミックなどの白い素材を選べば、天然歯に近い見た目を実現できます。ただし、保険適用のブリッジは素材が限られるため、奥歯の場合は銀歯になることがあります。 咀嚼能力(物を噛み砕く能力)については、インプラントは天然歯の約80%、ブリッジは約60%と言われています。インプラントのほうが咀嚼能力が高いため、硬いものでも比較的しっかり噛むことができます。 インプラントのメリットとデメリット インプラント治療には、多くのメリットがありますが、同時にいくつかのデメリットも存在します。それぞれを詳しく見ていきましょう。 インプラントの主なメリット インプラントの最大のメリットは、周囲の健康な歯を削る必要がないことです。これにより、将来的に他の歯のトラブルリスクを減らすことができます。 また、インプラントは顎の骨に直接固定されるため、咀嚼力が天然歯に近く、硬いものでもしっかり噛むことができます。さらに、インプラントは顎の骨に適度な刺激を与えるため、骨の吸収(痩せていくこと)を防ぐ効果もあります。 見た目も自然で、違和感なく笑ったり話したりすることができます。特に前歯のインプラントは審美性に優れており、周囲の人に気づかれることはほとんどありません。 インプラントのデメリット インプラントの最大のデメリットは、外科手術が必要なことです。手術に対する不安や恐怖感から、治療をためらう方も少なくありません。 また、治療期間が長いことも特徴です。インプラント体と骨が結合するまでに3〜6ヶ月かかるため、全体の治療期間は半年〜1年程度になることが一般的です。 費用面では、インプラント治療は保険適用外の自費診療となるため、1本あたり30〜50万円程度かかります。複数の歯を失っている場合は、さらに高額になります。 さらに、顎の骨の量が少ない場合や、糖尿病などの全身疾患がある場合は、治療が難しいこともあります。 ブリッジのメリットとデメリット 次に、ブリッジ治療のメリットとデメリットについて詳しく見ていきましょう。 ブリッジの主なメリット ブリッジの最大のメリットは、外科手術が不要なことです。手術に対する不安や恐怖がある方にとって、大きな安心材料となります。 また、治療期間が短いことも特徴です。通常、2〜3週間程度で治療が完了するため、早く歯の機能を回復したい方に適しています。 費用面では、保険適用のブリッジであれば、1万円程度で治療を受けることができます。経済的な負担を抑えたい方にとっては、大きなメリットとなるでしょう。 さらに、インプラントのように骨の量が少ないことが治療の障害になることはなく、全身疾患があっても比較的安全に治療を受けることができます。 ブリッジのデメリット ブリッジの最大のデメリットは、健康な歯を削る必要があることです。これにより、将来的に支台歯となった歯がトラブルを起こすリスクが高まります。 また、ブリッジの下の歯茎は清掃が難しく、歯周病や虫歯のリスクが高まる可能性があります。適切な口腔ケアが欠かせません。 咀嚼力もインプラントに比べると劣り、硬いものを噛むと支台歯に負担がかかります。さらに、ブリッジの寿命は10年程度と言われており、インプラントより短い傾向にあります。 保険適用のブリッジは素材が限られるため、特に奥歯の場合は銀歯になることが多く、審美性に劣ることがあります。 長期的な視点から見た選択基準 インプラントとブリッジ、どちらを選ぶべきか迷った時は、長期的な視点から考えることが大切です。 費用対効果を考える 初期費用だけを見ると、ブリッジの方が圧倒的に安いです。しかし、長期的な視点で考えると、必ずしもそうとは言えません。 ブリッジの寿命は平均10年程度と言われており、その後は作り直しが必要になることが多いです。一方、インプラントは適切なケアを行えば20年以上使用できるケースも少なくありません。 また、ブリッジの支台歯がトラブルを起こした場合、新たな治療が必要になり、結果的に費用がかさむことがあります。長期的な費用対効果を考えると、一概にブリッジが経済的とは言えないのです。 口腔内の状態による選択 インプラントとブリッジ、どちらが適しているかは、患者さまの口腔内の状態によっても変わってきます。 例えば、失った歯の両隣の歯が健康であれば、それらを削ってブリッジにするよりも、インプラントを選択する方が歯の保存という観点からは理想的です。 一方、両隣の歯が既に大きな詰め物や被せ物をしている場合は、ブリッジの支台歯として活用することで、効率的な治療が可能になることもあります。 また、顎の骨の量が少ない場合や、糖尿病などの全身疾患がある場合は、インプラント治療が難しいこともあり、ブリッジが選択肢となります。 年齢や生活スタイルを考慮する 年齢や生活スタイルも、治療法を選ぶ上で重要な要素です。 若い方の場合、長期的な歯の健康を考えると、健康な歯を削らないインプラントが理想的です。一方、高齢の方や全身疾患をお持ちの方は、外科手術のリスクを考慮し、ブリッジを選択することもあります。 また、仕事や生活の都合で長期間の治療が難しい方は、短期間で終わるブリッジが適していることもあります。 このように、年齢や生活スタイル、健康状態などを総合的に考慮して、最適な治療法を選ぶことが大切です。 インプラントとブリッジの適切なケア方法 どちらの治療法を選んだ場合でも、長持ちさせるためには適切なケアが欠かせません。 インプラントのケア インプラントは天然歯と同様のケアが基本ですが、インプラント周囲炎(インプラント周囲の炎症)に注意が必要です。 毎日の丁寧な歯磨きに加え、歯間ブラシやデンタルフロスを使用して、インプラントと歯茎の境目をしっかり清掃しましょう。 また、定期的な歯科検診も重要です。3〜6ヶ月に一度は歯科医院でプロフェッショナルクリーニングを受け、インプラントの状態をチェックしてもらうことをおすすめします。 ブリッジのケア ブリッジのケアで最も重要なのは、ブリッジの下の歯茎の清掃です。この部分は通常の歯ブラシでは届きにくいため、専用のブリッジフロスや歯間ブラシを使用して清掃する必要があります。 また、支台歯の境目も虫歯になりやすいポイントですので、丁寧なケアが必要です。 インプラント同様、定期的な歯科検診も欠かせません。特にブリッジの場合は、支台歯の状態をチェックすることが重要です。 まとめ:あなたに最適な選択は? インプラントとブリッジ、どちらが優れているというわけではなく、患者さまの状態や希望によって最適な選択肢は変わります。 インプラントは、周囲の歯に負担をかけず、咀嚼力も高く、長期的な視点で見ると理想的な治療法と言えます。一方、外科手術が必要で費用も高いというデメリットがあります。 ブリッジは、外科手術が不要で治療期間も短く、費用も抑えられるというメリットがあります。しかし、健康な歯を削る必要があり、長期的には支台歯にトラブルが生じるリスクがあります。 最終的には、歯科医師との十分な相談の上で、あなたの口腔内の状態、生活スタイル、予算などを総合的に考慮して、最適な治療法を選択することが大切です。 当院では、インプラント治療をはじめ、様々な歯科治療に対応しております。歯の治療でお悩みの方は、ぜひ一度ご相談ください。経験豊富な歯科医師が、あなたに最適な治療法をご提案いたします。 詳しくは表参道AK歯科・矯正歯科のホームページをご覧ください 表参道AK歯科・矯正歯科 院長:小室 敦 https://doctorsfile.jp/h/197421/df/1/ 略歴 日本歯科大学 卒業 日本歯科大学附属病院 研修医 都内歯科医院 勤務医 都内インプラントセンター 副院長 都内矯正歯科専門医院 勤務医 都内審美・矯正歯科専門医院 院長 所属団体 日本矯正歯科学会 日本口腔インプラント学会 日本歯周病学会 日本歯科審美学会 日本臨床歯科学会(東京SJCD) 包括的矯正歯科研究会 下間矯正研修会インストラクター レベルアンカレッジシステム(LAS) 参加講習会 口腔インプラント専修医認定100時間コース JIADS(ペリオコース) 下間矯正研修会レギュラーコース 下間矯正研修会アドバンスコース 石井歯内療法研修会 SJCDレギュラーコース SJCDマスターコース SJCDマイクロコース コンセプトに基づく包括的矯正治療実践ベーシックコース (綿引 淳一 先生) 新臨床歯科矯正学研修会専門医コース 診断・治療編(石川 晴夫 先生) 新臨床歯科矯正学研修会専門医コース 応用編(石川 晴夫 先生) レベルアンカレッジシステム(LAS)レギュラーコース 他多数参加  
2025.09.29
奥歯のインプラント治療〜必要性と選ばない場合のリスク
奥歯のインプラント治療とは?基本的な理解から 奥歯を失ってしまった経験はありますか?「奥だから見えないし、そのままでも大丈夫かな」と思われる方も多いのではないでしょうか。しかし、奥歯の欠損を放置することは、思わぬリスクを伴います。 奥歯は見た目には影響が少ないものの、実は私たちの口腔内で最も重要な役割を担っている歯なのです。食べ物をしっかりと噛み砕く咀嚼の中心となり、噛み合わせ全体のバランスを決定づける要となります。 奥歯を失うと、噛む力は30〜40%も低下すると言われています。これは単に食事の楽しみが減るだけでなく、消化器官への負担増加や栄養吸収の低下にもつながるのです。 インプラント治療とは、失った歯の代わりに人工の歯根(インプラント体)を顎の骨に埋め込み、その上に人工の歯(上部構造)を装着する治療法です。特に奥歯は咀嚼の中心となる部位であるため、機能回復が非常に重要になります。 奥歯のインプラント治療は一般的に次のような流れで進みます。まず初診・診断でレントゲンやCTを使って骨の状態を確認し、治療計画を立てます。その後、局所麻酔下でインプラント埋入手術を行い、骨とインプラントが結合する期間(通常2〜6か月)を経て、最終的な人工歯を装着します。 奥歯のインプラント治療が必要な理由 「奥歯だから見えないし、インプラントにしなくても大丈夫では?」と思われるかもしれません。しかし、奥歯をインプラントで補うことには、多くの重要な理由があります。 天然歯のように噛める 入れ歯やブリッジに比べ、奥歯をインプラントにしたときの咀嚼力は最も天然歯に近いと言われています。インプラントの素材となるチタンには、骨に埋め込むことで周囲の組織と連結する性質があります。そのため、時間が経過するにつれ骨と結合し、しっかりと噛めるようになるのです。 奥歯が入れ歯の場合は硬いもの(お肉やお煎餅など)や粘着性のあるもの(キャラメルやお餅など)を噛んでスムーズに食べることは困難です。しかし、インプラントにすれば天然の歯と同じようにしっかり噛むことができるようになり、食べ物に制限なく過ごせるようになります。 噛み合わせのバランスが整う 奥歯がなくなると噛む力に偏りが生じ、噛み合わせのバランスが崩れてしまいます。噛み合わせが悪いと肩こりや頭痛、顔の歪みなど身体に影響が及ぶこともあります。インプラントで噛み合わせを調整することで、身体のバランスを整えることができるのです。 発音がしやすくなる 奥歯は発音に非常に影響しており、奥歯がないと息がそこから漏れ、発音がうまくできないことがあります。特に「き」「し」「ち」などのイ段の発音ができなくなる場合が多いです。噛み合わせの良いインプラントにすることでハッキリと発音できるようになり、会話の際に感じるストレスが軽減されます。 顎の骨の吸収を抑える 歯を失うと歯を支える顎の骨は刺激を受けなくなりどんどん痩せていきます(吸収)。入れ歯やブリッジでは顎の骨に刺激を伝えることはできませんが、インプラントは人工歯根が顎の骨と結合しているため、天然歯と同等の刺激を伝えられます。これにより、顎の骨の吸収を防ぎ、お顔の形を維持することができます。 奥歯をインプラントにしない場合のリスク 奥歯の欠損を放置することには、様々なリスクが伴います。時間の経過とともに、これらの問題は徐々に深刻化していくことが多いのです。 残存歯への過剰な負担 奥歯を失うと、残りの歯に大きな負担がかかります。奥歯には本来、強い噛む力がかかっていますが、その歯がなくなると、他の歯がその負担を引き受けることになります。この過剰な負担により、残っている歯が疲労し、折れやすくなったり、早期に失われたりするリスクが高まります。 特にお伝えしておきたいのは、奥歯は噛み合わせの重要な役割を担っており、奥歯が欠損したままでは前歯はあっという間にフレアアウト(前歯が前方に傾斜して出っ歯になる)してしまうということです。しかも一度フレアアウトした前歯は元に戻すことはほぼ不可能です。つまり奥歯がしっかり噛めるということは前歯の将来を守ることにも繋がるわけです。 噛み合わせの不調和と全身への影響 奥歯の欠損により噛み合わせのバランスが崩れると、それは単に口の中だけの問題ではなくなります。不調和な噛み合わせは、顎関節症や頭痛、肩こり、姿勢の悪化など、全身に様々な影響を及ぼす可能性があります。 噛み合わせは人の歯全てがしっかり噛み合っていることが理想的です。噛み合わせがずれると歯以外にも様々な不調がおきてしまいます。 消化機能の低下と栄養吸収への影響 奥歯を失うと、食べ物を十分に噛み砕くことができなくなります。食べ物を細かく噛み砕くことは消化の第一段階であり、これが不十分だと胃腸に負担がかかり、栄養の吸収効率も低下します。 奥歯を1本失うと噛む力は30〜40%低下し、食べ物の消化・吸収が悪くなると言われています。これは長期的な健康状態に影響を与える可能性があります。 顔の形態変化 歯を失うと、その部分の顎の骨が徐々に痩せていきます。特に奥歯の欠損が長期間続くと、頬がこけたり、顔の下半分が短くなったりするなど、顔の形に変化が現れることがあります。 奥歯を失ったままにしておくと噛み合わせが狂い、やがて顔の輪郭にも影響を及ぼします。失った歯の周りの骨がなくなっていくことでも輪郭に影響を与えます。 奥歯のインプラント治療の難しさとは 奥歯のインプラント治療には、前歯とは異なる特有の難しさがあります。これらの課題を理解し、適切な対応ができる歯科医院を選ぶことが重要です。 上顎洞との関係 前歯のインプラントは、骨が薄いことや審美面で治療が難しいと一般的によく言われていますが、上顎の奥歯も難易度の高い治療になります。その理由は、鼻の横と目の下辺りにある「上顎洞」と呼ばれる空洞が原因です。 この空洞があることによって、上顎は奥歯にかけて骨が薄い傾向にあること、そして上顎洞の底にはシュナイダー膜という薄い皮膜があり、この膜が破れると炎症を起こす可能性があるため、シュナイダー膜を破らないように慎重に治療を行わなければならないこと、この二つが要因で治療が難しくなるのです。 下歯槽神経への配慮 下顎の奥歯のインプラント治療では、下歯槽神経という重要な神経への配慮が必要です。この神経は下顎骨の中を通っており、誤って傷つけると唇や顎のしびれなどの後遺症が残る可能性があります。 下顎の第二小臼歯より後ろは下歯槽神経に干渉しないように注意が必要です。そのため、CTなどの精密な検査で神経の位置を正確に把握した上で治療計画を立てることが不可欠です。 噛む力の強さへの対応 奥歯は前歯と比べて非常に強い咬合力がかかります。男性の奥歯で約60kg、女性でも約40kgの力がかかると言われており、思いっきり噛み締めた時は約70kgにもなります。そのため、インプラントの設計や材質選択において、この強い力に耐えられるよう配慮する必要があります。 奥歯は噛む力が強いため噛み合わせの調整がシビアになります。適切な噛み合わせの調整ができないと、インプラントに過度な負担がかかり、長期的な成功率に影響することがあります。 奥歯のインプラント治療を成功させるポイント 奥歯のインプラント治療を成功させるためには、いくつかの重要なポイントがあります。これらを理解し、適切な歯科医院を選ぶことで、長期的に安定したインプラント治療の結果を得ることができます。 精密な診査診断の重要性 奥歯のインプラント治療では、CTなどを用いた精密な診査診断が不可欠です。骨の量や質、上顎洞や下歯槽神経との位置関係を正確に把握することで、安全かつ効果的な治療計画を立てることができます。 CTでしっかり診断されることが必要不可欠です。特に上顎の奥歯では、上顎洞との関係を詳細に把握することが重要です。また、下顎では神経の位置を正確に把握し、安全な埋入位置を決定する必要があります。 経験豊富な歯科医師の選択 インプラント治療は歯科医師の技術や経験によって成功率が大きく左右されます。特に奥歯のインプラント治療は難易度が高いため、この分野での豊富な経験と実績を持つ歯科医師を選ぶことが重要です。 米国の大学の調査では、歯科医師がインプラントの専門医教育を修了していないと、インプラントのリスクが5倍になるという報告もあります。インプラント治療は、歯が入れば良いというものではありません。治療後に長持ちし、快適に噛め、自然で美しい口元になるように治療を行うには、専門的な高い技術が必要です。 適切なメンテナンスの継続 インプラント治療後も定期的なメンテナンスが非常に重要です。特に奥歯は清掃が難しい部位であり、インプラント周囲炎のリスクが高まります。 インプラント周囲炎とは、インプラント周辺の組織が細菌に感染し、炎症が起きる症状です。症状が進むと、あごの骨にまで炎症が広がり、骨が溶け、インプラントを支えきれずぐらつくようになります。最終的には、インプラントが脱落してしまうケースもあります。 インプラントは直接あごの骨につながっていて、炎症に弱いため、進行が早いといわれています。そのため、軽い炎症でもすぐにあごの骨が吸収されてしまい、インプラントの土台が不安定になる可能性が高いでしょう。定期的なメンテナンスと適切なセルフケアで、これらのリスクを最小限に抑えることができます。 まとめ:奥歯のインプラント治療の重要性 奥歯のインプラント治療は、見た目には影響が少ないものの、咀嚼機能や全身の健康維持において非常に重要な役割を果たします。奥歯を失った場合、インプラント治療によって天然歯に近い機能を回復することで、様々なメリットを得ることができます。 奥歯をインプラントにするメリットとして、天然歯のように噛める、噛み合わせのバランスが整う、発音がしやすくなる、顎の骨の吸収を抑えるなどが挙げられます。一方、奥歯の欠損を放置すると、残存歯への過剰な負担、噛み合わせの不調和と全身への影響、消化機能の低下、顔の形態変化などのリスクがあります。 奥歯のインプラント治療には上顎洞との関係や下歯槽神経への配慮、強い咬合力への対応など、特有の難しさがありますが、精密な診査診断、経験豊富な歯科医師の選択、適切なメンテナンスの継続によって、長期的に安定した結果を得ることができます。 奥歯の健康は全身の健康に直結します。奥歯を失った場合は、早めに専門医に相談し、適切な治療を受けることをお勧めします。表参道AK歯科・矯正歯科では、インプラント治療に関する無料カウンセリングを実施しております。奥歯の問題でお悩みの方は、ぜひ一度ご相談ください。 詳しい情報や無料カウンセリングのご予約は、表参道AK歯科・矯正歯科のウェブサイトをご覧ください。経験豊富な専門医が、あなたに最適な治療法をご提案いたします。 表参道AK歯科・矯正歯科 院長:小室 敦 https://doctorsfile.jp/h/197421/df/1/ 略歴 日本歯科大学 卒業 日本歯科大学附属病院 研修医 都内歯科医院 勤務医 都内インプラントセンター 副院長 都内矯正歯科専門医院 勤務医 都内審美・矯正歯科専門医院 院長 所属団体 日本矯正歯科学会 日本口腔インプラント学会 日本歯周病学会 日本歯科審美学会 日本臨床歯科学会(東京SJCD) 包括的矯正歯科研究会 下間矯正研修会インストラクター レベルアンカレッジシステム(LAS) 参加講習会 口腔インプラント専修医認定100時間コース JIADS(ペリオコース) 下間矯正研修会レギュラーコース 下間矯正研修会アドバンスコース 石井歯内療法研修会 SJCDレギュラーコース SJCDマスターコース SJCDマイクロコース コンセプトに基づく包括的矯正治療実践ベーシックコース (綿引 淳一 先生) 新臨床歯科矯正学研修会専門医コース 診断・治療編(石川 晴夫 先生) 新臨床歯科矯正学研修会専門医コース 応用編(石川 晴夫 先生) レベルアンカレッジシステム(LAS)レギュラーコース 他多数参加  
2025.09.26
歯がボロボロになる5つの原因と予防対策~専門医の見解
歯の健康は全身の健康に大きく影響します。しかし、日常生活の中で知らず知らずのうちに歯を痛めつけてしまい、気づいたときには「歯がボロボロ」という状態になってしまうことがあります。 私は日本歯科大学卒業後、様々な歯科医院での経験を積み、現在は表参道AK歯科・矯正歯科の院長を務めています。これまで1,000件以上の矯正治療やインプラント治療を手がけてきた経験から、歯がボロボロになる原因と、その予防法についてお伝えします。 歯がボロボロになると、見た目の問題だけでなく、食事や会話にも大きな支障をきたします。さらに治療が困難になり、費用も高額になる場合があります。しかし、適切な知識と予防策を持つことで、健康な歯を長く維持することが可能です。 歯がボロボロになる5つの主な原因 歯がボロボロになる原因はいくつかありますが、特に注意すべき5つの要因を詳しく解説します。これらを理解することが、予防の第一歩となります。 歯の健康を損なう原因を知ることで、日常生活での対策も立てやすくなります。一つひとつ見ていきましょう。 1. 虫歯による歯の崩壊 虫歯は歯がボロボロになる最も一般的な原因です。虫歯の原因となるのは、歯垢に潜む細菌です。これらの細菌は総称して「虫歯菌」と呼ばれています。 食べ物の残りかすや糖分がお口の中に残ると、虫歯菌がこれを分解して酸を生成します。この酸が歯のエナメル質を溶かし、虫歯を引き起こすのです。 初期の虫歯は歯の表面のエナメル質が溶かされるだけですが、放置すると時間の経過とともに歯に穴が空き、虫歯菌は歯の内部へと進行していきます。進行すると、歯が部分的に欠けたり、冷たいものや熱いものがしみるようになります。 さらに進行すると、歯がボロボロになり、歯根部分だけが残った状態になることもあります。この段階では神経が死んでいるため痛みを感じなくなりますが、見た目も機能も大きく損なわれてしまいます。 2. 歯周病による歯の土台の破壊 歯周病も歯がボロボロになる主要な原因の一つです。歯周病の原因も歯垢に潜む細菌で、約300種類もの細菌が関与していると言われています。 歯周病は、歯垢や歯石が歯と歯茎の間にたまり、歯茎の奥へと進行して歯周ポケットを形成します。そこで細菌が出す毒素により、歯茎など歯を支えている組織が破壊されていくのです。 初期段階では歯茎が炎症を起こして腫れるだけですが、進行すると歯磨き時の出血や、歯茎からの膿、口臭の悪化などの症状が現れます。さらに進行すると、顎の骨が溶かされて歯がぐらつくようになり、最終的には歯が抜け落ちることもあります。 歯周病は痛みがほとんどないため気づきにくく、気づいたときには重度に進行していることも少なくありません。 生活習慣が引き起こす歯の損傷 虫歯や歯周病以外にも、私たちの日常的な習慣が歯の健康を損なうことがあります。特に以下の3つの要因は、多くの患者さまに見られる問題です。 3. 歯ぎしりと食いしばり 歯ぎしりは歯を削る主な原因の一つです。ストレスや不安が原因となり、特に夜間に無意識のうちに歯ぎしりをすることで歯が削れていきます。 歯ぎしりを放置すると、時間の経過とともに歯のエナメル質が摩耗し、歯がボロボロになりやすくなります。また、歯に亀裂が入ったり、歯の神経に負担がかかったりすることもあります。 歯ぎしりは自分では気づきにくいものです。朝起きたときに顎が疲れている、頭痛がする、歯が知覚過敏になるなどの症状があれば、歯ぎしりの可能性があります。 歯科医院では、歯ぎしりから歯を守るためのナイトガードを作製することができます。これにより、歯への負担を軽減することが可能です。 4. 外傷による歯の損傷 事故やスポーツ中のけがなどによる外傷も、歯がボロボロになる原因となります。歯が割れたり、折れたり、脱臼したりすることがあります。 特にスポーツをされる方は、マウスガードの使用をお勧めします。マウスガードは衝撃から歯を守り、外傷のリスクを大幅に減らすことができます。 また、日常生活でも転倒などによる歯の損傷は起こりえます。歯に強い衝撃を受けた場合は、たとえ見た目に問題がなくても、早めに歯科医院を受診することをお勧めします。 5. 栄養不足と不適切な食習慣 歯は健康な成長と維持に栄養を必要とします。特にカルシウム、リン、ビタミンDなどが不足すると、歯が脆くなりやすくなります。 また、酸性の飲食物(炭酸飲料やフルーツジュースなど)の過剰摂取は、歯のエナメル質を直接侵食します。これにより歯が脆くなり、知覚過敏や虫歯のリスクが高まります。 糖分の多い食品や飲料を頻繁に摂取することも、虫歯のリスクを高める要因です。特に就寝前の甘いものの摂取は、夜間の唾液分泌量が減少するため、虫歯のリスクが高まります。 バランスの取れた食事と適切な食習慣は、歯の健康維持に不可欠です。 歯がボロボロになることを予防する効果的な方法 歯がボロボロになるのを防ぐためには、日常的なケアと定期的な専門的ケアの両方が重要です。以下に、効果的な予防法をご紹介します。 適切な歯磨きと口腔ケア 適切な歯磨きは、虫歯や歯周病の予防に不可欠です。歯ブラシの選び方や正しい歯磨き方法を知ることが大切です。 歯磨きのポイントは、力の入れ具合と磨く角度です。強すぎる力で磨くとエナメル質が削れたり、歯茎を傷つけたりする可能性があります。歯ブラシは歯と歯茎の境目に45度の角度で当て、小さく円を描くように磨くのが効果的です。 また、フロスや歯間ブラシを使用して、歯ブラシだけでは届かない歯と歯の間の清掃も重要です。これにより、虫歯や歯周病のリスクを大幅に減らすことができます。 さらに、洗口液の使用も口腔内の細菌を減らすのに役立ちます。特に歯周病予防には効果的です。 定期的な歯科検診とプロフェッショナルケア 歯科医院での定期的な検診とクリーニングは、歯の健康維持に欠かせません。早期発見と早期治療により、小さな問題が大きな問題に発展するのを防ぐことができます。 プロフェッショナルクリーニングでは、歯ブラシでは取り除けない歯垢や歯石を除去します。これにより、虫歯や歯周病のリスクを大幅に減らすことができます。 また、定期検診では、虫歯や歯周病の早期発見だけでなく、歯ぎしりなどの問題も発見できます。早期に適切な対処をすることで、歯がボロボロになるのを防ぐことができます。 理想的には、半年に1回の定期検診をお勧めします。リスクの高い方は、3ヶ月に1回の検診が望ましいでしょう。 生活習慣の改善で歯を守る 歯の健康は日常の生活習慣と密接に関連しています。以下の点に注意することで、歯がボロボロになるリスクを大幅に減らすことができます。 ストレス管理と歯ぎしり対策 ストレスは歯ぎしりの主な原因の一つです。ストレス管理のためのリラクゼーション技法や、適度な運動、十分な睡眠などが効果的です。 歯ぎしりが心配な方は、ナイトガードの使用を検討してください。ナイトガードは、歯科医院で個人に合わせて作製するマウスピースで、夜間の歯ぎしりから歯を守ります。 また、就寝前のリラックスタイムを設けることも効果的です。温かい飲み物を飲む、軽いストレッチをする、瞑想するなど、自分に合ったリラックス方法を見つけましょう。 歯ぎしりは無意識のうちに行われることが多いため、自分では気づきにくいものです。パートナーや家族に気づいてもらうことも大切です。 バランスの取れた食事と適切な栄養摂取 歯の健康維持には、バランスの取れた食事が不可欠です。カルシウム、リン、ビタミンDなどの栄養素は、歯の強化に役立ちます。 カルシウムは乳製品、小魚、緑黄色野菜などに多く含まれています。ビタミンDは日光浴や魚、キノコ類から摂取できます。これらの栄養素をバランスよく摂ることで、歯の健康を支えることができます。 また、糖分や酸性の飲食物の過剰摂取を避けることも重要です。特に間食や就寝前の甘いものの摂取は控えめにしましょう。 水分摂取も大切です。水を飲むことで口の中が洗浄され、細菌の繁殖を抑制する効果があります。特に食事の後に水を飲むことをお勧めします。 安全対策とマウスガードの活用 スポーツや激しい身体活動をする際は、マウスガードの使用を検討してください。特にコンタクトスポーツ(ボクシング、ラグビー、アイスホッケーなど)や、転倒のリスクがあるスポーツ(スケートボード、自転車など)では、マウスガードが歯の保護に効果的です。 マウスガードは市販のものもありますが、歯科医院で作製する個人用マウスガードの方が、フィット感や保護効果が高くお勧めです。 また、日常生活でも安全に気を配ることが大切です。階段の上り下りや、滑りやすい場所での注意など、転倒予防も歯の外傷を防ぐ上で重要です。 歯を物を開けるツールとして使用することも避けましょう。ペットボトルのキャップを歯で開けるなどの行為は、歯に大きな負担をかけ、破折の原因となります。 歯がボロボロになってしまった場合の治療法 すでに歯がボロボロになってしまった場合でも、現代の歯科医療では様々な治療法があります。状態に応じた適切な治療を受けることで、口腔機能と審美性を回復することが可能です。 インプラント治療による機能回復 歯が大きく損傷している場合や、すでに失ってしまった場合、インプラント治療が効果的な選択肢となります。インプラントは顎の骨にチタン製のインプラント体を埋め込み、その上に人工の歯を装着する治療法です。 インプラントの大きな利点は、他の歯に負担をかけることなく、自然な見た目と噛み心地を実現できることです。また、適切なケアを行えば長期間使用することができます。 全体的に歯が悪い場合には、オールオン4やオールオン6といった最新のインプラントシステムも選択肢となります。これらは、わずかな本数のインプラントで上下の歯を支えるため、従来の総入れ歯に比べて安定性が高く、見た目の自然さや噛み心地も大きく改善できます。 インプラント治療は手術が必要であり、治療費も高額になることがありますが、長期的な視点で見ると、QOL(生活の質)の向上に大きく貢献します。 クラウン(被せ物)やブリッジによる修復 虫歯による大きな欠損を修復するために、クラウン(被せ物)を使用した治療も効果的です。金属、セラミック、ジルコニアなどの材料を使用したクラウンで、歯の形を再生し保護します。 特にセラミックやジルコニアは、自然な歯のような色と形で見た目の美しさを保つことができます。最近では、デジタル技術の進歩により、より精密で自然な被せ物が可能になっています。 複数の歯が失われている場合には、ブリッジが選択肢となります。ブリッジは隣接する健康な歯を利用して、欠損部分を埋める治療法です。自然な噛み心地と見た目を実現できますが、土台となる歯に負担がかかるため、定期的なケアが必要です。 クラウンやブリッジは、インプラントに比べて短期間で治療を完了できるメリットがあります。 入れ歯による総合的な回復 多くの歯を失ってしまった場合、入れ歯も選択肢の一つです。現代の入れ歯は、従来のものに比べて格段に進化しており、見た目も機能も向上しています。 部分的に歯を失った場合には部分入れ歯、全ての歯を失った場合には総入れ歯が適応となります。保険適用の入れ歯は経済的ですが、より快適さを求める場合には自費診療の入れ歯も検討の余地があります。 入れ歯は手術が不要で、比較的短期間で製作できるメリットがありますが、定期的な調整やメンテナンスが必要です。また、長期間使用していると顎の骨が徐々に痩せていくため、数年ごとに作り直す必要があります。 入れ歯の安定性を高めるために、少数のインプラントを併用する「インプラントオーバーデンチャー」という選択肢もあります。 まとめ:健康な歯を守るために今日からできること 歯がボロボロになる原因は多岐にわたりますが、適切な知識と予防策を持つことで、健康な歯を長く維持することが可能です。 日常的なケアとして、正しい歯磨き習慣の確立、バランスの取れた食事、ストレス管理が重要です。また、定期的な歯科検診とプロフェッショナルケアを受けることで、問題の早期発見・早期治療が可能になります。 すでに歯に問題がある場合でも、現代の歯科医療では様々な治療法があります。状態に応じた適切な治療を受けることで、口腔機能と審美性を回復することができます。 歯の健康は全身の健康と密接に関連しています。健康な歯を維持することは、QOL(生活の質)の向上にも大きく貢献します。今日からできる小さな習慣の改善が、将来の大きな問題を防ぐことにつながります。 「歯がボロボロになってしまった」「全体的に歯が悪い」とお悩みの方は、まずは歯科医院での相談をお勧めします。表参道AK歯科・矯正歯科では、患者さま一人ひとりの状態に合わせた最適な治療計画をご提案しています。無料カウンセリングも実施していますので、お気軽にご相談ください。 健康な歯で、より豊かな生活を送りましょう。 詳しい情報や無料カウンセリングのご予約は表参道AK歯科・矯正歯科のホームページをご覧ください 表参道AK歯科・矯正歯科 院長:小室 敦 https://doctorsfile.jp/h/197421/df/1/ 略歴 日本歯科大学 卒業 日本歯科大学附属病院 研修医 都内歯科医院 勤務医 都内インプラントセンター 副院長 都内矯正歯科専門医院 勤務医 都内審美・矯正歯科専門医院 院長 所属団体 日本矯正歯科学会 日本口腔インプラント学会 日本歯周病学会 日本歯科審美学会 日本臨床歯科学会(東京SJCD) 包括的矯正歯科研究会 下間矯正研修会インストラクター レベルアンカレッジシステム(LAS) 参加講習会 口腔インプラント専修医認定100時間コース JIADS(ペリオコース) 下間矯正研修会レギュラーコース 下間矯正研修会アドバンスコース 石井歯内療法研修会 SJCDレギュラーコース SJCDマスターコース SJCDマイクロコース コンセプトに基づく包括的矯正治療実践ベーシックコース (綿引 淳一 先生) 新臨床歯科矯正学研修会専門医コース 診断・治療編(石川 晴夫 先生) 新臨床歯科矯正学研修会専門医コース 応用編(石川 晴夫 先生) レベルアンカレッジシステム(LAS)レギュラーコース 他多数参加
2025.09.26
フルマウスインプラントとは?費用相場と支払い方法について解説~2025年最新版
フルマウスインプラントとは?失った歯を取り戻す最新治療 フルマウスインプラントとは、上下の歯のほとんどまたは全てを失った方のために行われる治療法です。 歯が全体的に弱ってしまった方や、すでに多くの歯を失ってしまった方にとって、食事や会話、そして何より笑顔に自信を持つことが難しくなっています。 総入れ歯では安定感に欠け、食事の際に動いてしまったり、違和感を感じたりすることも少なくありません。そんな悩みを解決するのがフルマウスインプラント治療なのです。 この治療法では、顎の骨に人工歯根(インプラント)を埋め込み、その上に人工の歯を装着します。 従来のように1本1本すべての歯にインプラントを埋入するのではなく、戦略的に配置した4〜6本のインプラントで片顎全体の歯を支える「オールオン4」や「オールオン6」といった方法が主流になっています。 フルマウスインプラントの費用相場はいくら? フルマウスインプラント治療を検討する際、最も気になるのが費用ではないでしょうか。 実際のところ、フルマウスインプラントの費用は治療方法や使用する材料によって大きく異なります。 片顎(上顎または下顎のみ)の場合、一般的な費用相場は以下のようになっています。 インプラントを単体またはブリッジにして歯を並べる従来型:250万円〜600万円 オールオン4(4本のインプラントで支える方法):200万円〜400万円 上下両方の顎を治療する場合は、これらの費用がおおよそ2倍になると考えておくとよいでしょう。 ただし、これらはあくまで相場であり、実際の費用は歯科医院や治療内容によって変動します。 従来型フルマウスインプラントの費用内訳 従来型のフルマウスインプラント治療では、片顎の費用内訳は以下のようになっています。 診断検査費:1万円〜5万円 手術+インプラント材料費:135万円〜315万円(9本の場合) 上部構造(人工歯)費:90万円〜270万円 骨造成(必要な場合):10万円〜100万円 メンテナンス費:1回2千円〜1万円 歯科医院によっては、これらの費用を総額で提示する場合と、それぞれの項目ごとに別々に計算する場合があります。 どうですか?思ったより高額でしょうか? 確かに決して安い買い物ではありませんが、一生使う歯のことを考えると、長期的な視点で捉えることが大切です。 オールオン4の費用内訳 オールオン4は、4〜6本のインプラントで片顎全体の歯を支える治療法です。片顎あたりの費用内訳は以下の通りです。 診断検査費:1万円〜5万円 手術+インプラント材料費:120万円〜200万円 上部構造(人工歯)費:80万円〜200万円 メンテナンス費:1回2千円〜1万円 オールオン4は従来型と比較して、インプラントの本数が少ないため、総額でも費用を抑えることができる傾向にあります。 フルマウスインプラントの支払い方法と医療費控除 高額なフルマウスインプラント治療。一括で支払うのは難しいと感じる方も多いでしょう。 ここでは、負担を軽減するための支払い方法と医療費控除について解説します。 分割払いとデンタルローン フルマウスインプラント治療では、多くの歯科医院が分割払いやデンタルローンを用意しています。 例えば、表参道AK歯科・矯正歯科では、クレジットカードやデンタルローンを取り扱っており、月々の負担を抑えながら治療を受けることが可能です。 デンタルローンは医療費専用のローンで、一般的なローンよりも金利が低く設定されていることが多いのが特徴です。 治療費が300万円の場合、60回払い(5年)にすれば、月々の支払いは約6万円程度になります。自分の家計に合わせた返済計画を立てることができるのは大きなメリットですね。 医療費控除の活用方法 インプラント治療は保険適用外の自由診療ですが、医療費控除の対象となります。 1年間(1月1日から12月31日まで)に支払った医療費の合計が10万円を超えた場合、確定申告をすることで税金の一部が還付されます。 医療費控除の対象:治療費、通院のための交通費など 控除額の計算方法:(年間医療費 - 10万円)× 所得税率 フルマウスインプラントのような高額治療では、医療費控除を利用することで、数十万円の還付を受けられる可能性があります。 治療費の領収書や通院記録はしっかり保管しておきましょう。 保険適用は可能?インプラント治療と保険の関係 「インプラント治療に保険は適用されないの?」というご質問をよくいただきます。 結論から言うと、インプラント治療は基本的に保険適用外の自由診療となります。 ただし、以下の特殊なケースでは例外的に保険が適用される可能性があります。 腫瘍や事故の外傷などが原因で顎の骨を連続して1/3以上失っている場合 生まれつきの疾患により顎骨を連続して1/3以上失っている場合 これらのケースは非常に稀であり、一般的な歯の喪失によるインプラント治療は保険適用外となります。 なぜインプラント治療が保険適用外なのでしょうか? 日本の健康保険制度では、虫歯や歯周病などの「病気の治療」を目的とした処置が保険適用の対象となります。一方、インプラント治療は「失った機能の回復」や「見た目の改善」を目的としているため、保険適用外となっているのです。 保険適用外というと不安に感じるかもしれませんが、自由診療だからこそ、最新の技術や高品質な材料を使用した治療を受けることができるというメリットもあります。 フルマウスインプラントのメリット・デメリット フルマウスインプラント治療を検討する際は、そのメリットとデメリットをしっかり理解しておくことが大切です。 メリット:生活の質を大きく向上させる可能性 フルマウスインプラント治療には、以下のようなメリットがあります。 安定した咀嚼機能:しっかりと噛めるようになり、食事の楽しみが戻ります。 審美性の向上:自然な見た目の歯で、笑顔に自信が持てます。 発音の改善:明瞭な発音ができるようになり、会話がスムーズになります。 取り外しの必要がない:入れ歯と違い、取り外す手間がなく、ずれる心配もありません。 顔の形状維持:骨の吸収を防ぎ、顔のたるみを予防します。 長期的な安定性:適切なメンテナンスを行えば、長期間使用できます。 これらのメリットにより、フルマウスインプラント治療は単に歯の機能を回復するだけでなく、患者様の生活の質を大きく向上させる可能性を秘めています。 デメリット:知っておくべきリスクと注意点 一方で、以下のようなデメリットやリスクも存在します。 高額な費用:保険適用外のため、治療費が高額になります。 外科手術が必要:顎の骨にインプラントを埋入する手術が必要です。 治療期間が長い:従来型の場合、完了までに半年〜1年程度かかることがあります。 定期的なメンテナンスが必要:長持ちさせるためには定期的なメンテナンスが欠かせません。 全身疾患による制限:糖尿病や骨粗鬆症などの疾患がある場合、治療が制限されることがあります。 特に手術に関しては、痛みや腫れを心配される方も多いですが、現在では静脈内鎮静法などの麻酔技術の進歩により、痛みを最小限に抑えた治療が可能になっています。 フルマウスインプラント治療の流れと期間 フルマウスインプラント治療は、一般的に以下のような流れで進められます。 初診・カウンセリングから治療完了まで 初診・カウンセリング:現在の口腔内状態の確認、CT撮影、治療計画の説明 術前準備:歯石除去、残存歯の治療、必要に応じた抜歯 インプラント埋入手術:局所麻酔または静脈内鎮静法による手術 仮歯の装着:オールオン4の場合は当日、従来型は数日〜数週間後 治癒期間:インプラントと骨の結合を待つ期間(3〜6ヶ月) 最終補綴物の製作・装着:型取り、試適、最終的な人工歯の装着 メンテナンス:定期的な検診とクリーニング 治療期間は、選択する方法によって大きく異なります。 従来型:6ヶ月〜1年程度 オールオン4:3〜6ヶ月程度 オールオン4は、インプラントの本数が少なく、即日仮歯を装着できるため、従来型に比べて治療期間が短いのが特徴です。 ただし、個人の骨の状態や全身の健康状態によって、治療期間は変動することがあります。 術後の痛みや腫れはどの程度? インプラント手術後は、ある程度の痛みや腫れが生じるのが一般的です。 しかし、現在の歯科医療技術の進歩により、術後の不快感は最小限に抑えられるようになっています。 多くの場合、痛みや腫れのピークは手術後24〜48時間で、その後徐々に軽減していきます。 術後の痛みは処方される鎮痛剤でコントロールでき、腫れに対しては冷却などの対処法が指示されます。 個人差はありますが、1週間程度で日常生活に支障のないレベルまで回復することが多いです。 フルマウスインプラント治療を成功させるためのポイント 高額な費用をかけるフルマウスインプラント治療。せっかく受けるなら、長く快適に使い続けたいですよね。 ここでは、治療を成功させるための重要なポイントをご紹介します。 信頼できる歯科医院の選び方 フルマウスインプラント治療の成功は、歯科医院選びから始まります。以下のポイントをチェックしましょう。 歯科医師の経験と実績:インプラント治療の症例数や経験年数 設備の充実度:CT撮影装置、シミュレーションソフトなどの最新設備 アフターケア体制:定期検診やメンテナンスの体制が整っているか 治療内容と費用の明確さ:総額や内訳が明確に示されているか 患者の声や評判:実際に治療を受けた方の評価 例えば、表参道AK歯科・矯正歯科では、院長の小室敦医師が日本矯正歯科学会、日本口腔インプラント学会などに所属し、多数の専門的な研修を修了しています。また、診断・治療計画の立案は経験豊富な院長が行い、3DスキャナーやAI分析などの最新デジタル機器を用いた正確な診断を提供しています。 治療後のメンテナンスの重要性 インプラント治療は、装着して終わりではありません。長期的な成功のためには、適切なメンテナンスが欠かせません。 定期的な検診:3〜6ヶ月ごとの定期検診を受ける プロフェッショナルクリーニング:歯科衛生士によるクリーニング 日々のセルフケア:適切な歯磨き、フロス、マウスウォッシュの使用 生活習慣の改善:喫煙や過度の飲酒を控える 特にインプラント周囲炎(インプラント周囲の炎症)は、放置するとインプラントの脱落につながる恐れがあります。早期発見・早期治療のためにも、定期的なメンテナンスは必須です。 メンテナンス費用は1回あたり2千円〜1万円程度ですが、これはインプラントを長持ちさせるための投資と考えましょう。 まとめ:フルマウスインプラントで人生の質を向上させる フルマウスインプラント治療は、失った歯の機能と審美性を回復するための画期的な選択肢です。 費用面では、片顎あたり従来型で250万円〜600万円、オールオン4で200万円〜400万円が相場となっています。決して安い買い物ではありませんが、分割払いやデンタルローン、医療費控除などを活用することで、経済的負担を軽減することが可能です。 治療を成功させるためには、信頼できる歯科医院選びと、治療後の適切なメンテナンスが重要です。経験豊富な歯科医師による治療と、定期的なメンテナンスによって、インプラントを長く快適に使い続けることができます。 歯の喪失によって失われた「噛む喜び」「話す楽しさ」「笑顔の自信」を取り戻すことは、生活の質を大きく向上させることにつながります。 もし現在、歯の問題でお悩みなら、まずは無料カウンセリングを利用して、専門医に相談してみることをおすすめします。あなたに最適な治療法を見つけるお手伝いをしてくれるはずです。 表参道AK歯科・矯正歯科では、無料カウンセリングを実施しています。「いきなり治療に入るのは怖い」「他院の話も聞きたいからまず相談だけ」といった患者様の不安や疑問に丁寧にお答えしています。 あなたの新しい笑顔と快適な生活のために、ぜひ一度ご相談ください。 表参道AK歯科・矯正歯科の詳細はこちらから 表参道AK歯科・矯正歯科 院長:小室 敦 https://doctorsfile.jp/h/197421/df/1/ 略歴 日本歯科大学 卒業 日本歯科大学附属病院 研修医 都内歯科医院 勤務医 都内インプラントセンター 副院長 都内矯正歯科専門医院 勤務医 都内審美・矯正歯科専門医院 院長 所属団体 日本矯正歯科学会 日本口腔インプラント学会 日本歯周病学会 日本歯科審美学会 日本臨床歯科学会(東京SJCD) 包括的矯正歯科研究会 下間矯正研修会インストラクター レベルアンカレッジシステム(LAS) 参加講習会 口腔インプラント専修医認定100時間コース JIADS(ペリオコース) 下間矯正研修会レギュラーコース 下間矯正研修会アドバンスコース 石井歯内療法研修会 SJCDレギュラーコース SJCDマスターコース SJCDマイクロコース コンセプトに基づく包括的矯正治療実践ベーシックコース (綿引 淳一 先生) 新臨床歯科矯正学研修会専門医コース 診断・治療編(石川 晴夫 先生) 新臨床歯科矯正学研修会専門医コース 応用編(石川 晴夫 先生) レベルアンカレッジシステム(LAS)レギュラーコース 他多数参加
2025.09.26
インプラントの寿命を延ばす8つのメンテナンス法~専門医監修
インプラントの寿命を左右するメンテナンスの重要性 インプラント治療を受けた方にとって、最も気になるのが「どれくらい長持ちするのか」という点ではないでしょうか。インプラントは適切なケアを行えば10年、15年、さらには20年以上も機能し続けることが可能です。 しかし、せっかく高額な費用をかけて入れたインプラントも、メンテナンスを怠れば寿命が短くなってしまいます。 インプラントと天然歯の大きな違いは、歯と歯茎の間に「付着上皮」と呼ばれる防御機構があるかどうかです。天然歯にはこの防御機構が備わっていますが、インプラントにはありません。そのため、インプラントは天然歯よりも細菌感染に弱く、定期的なメンテナンスがより重要となるのです。 私は日本歯科大学を卒業後、20年以上にわたり多くのインプラント治療に携わってきました。その経験から言えることは、インプラントの寿命を延ばすためには「プロによるメンテナンス」と「自宅でのセルフケア」の両方が欠かせないということです。 この記事では、インプラントを長持ちさせるための8つのメンテナンス法について、専門医の立場から詳しく解説していきます。 インプラントの寿命はどれくらい?メンテナンスの影響 まず、インプラントの寿命について正しく理解しておきましょう。スウェーデン製の主要なインプラントメーカーの調査によると、5年生存率は98.8%、10年では95%以上という高い数値が報告されています。 つまり、適切なケアを行えば、10年後も95%以上のインプラントが問題なく機能し続けるということです。さらに、15年、20年と長期にわたって使用できる可能性も十分にあります。 しかし、メンテナンスを怠ると「インプラント周囲炎」という合併症を引き起こす危険性があります。これはインプラント周囲の歯肉や骨に炎症が起こる状態で、最悪の場合、インプラントが脱落してしまうこともあるのです。 インプラント周囲炎の怖いところは、初期段階では痛みなどの自覚症状がほとんどないこと。気づいたときには炎症が進行していて、治療が難しくなっていることも少なくありません。 だからこそ、定期的なメンテナンスが重要なのです。早期発見・早期治療ができれば、インプラントの寿命を大きく延ばすことができます。 海外の研究では、インプラント周囲の骨吸収が軽度(2mm~4mm)のうちに対処すれば、74%のインプラントが健康な状態に回復しましたが、重度(7mm以上)に進行してからでは、わずか22%しか回復しなかったという報告もあります。 インプラントの寿命を延ばす8つのメンテナンス法 1. 定期的な歯科検診を欠かさない インプラントを長持ちさせるための最も重要なポイントは、定期的な歯科検診です。一般的には3~6ヶ月に1回の頻度で歯科医院を訪れることをお勧めします。 歯科医院では、インプラントの状態やインプラント周囲の歯肉の健康状態を専門的な目でチェックします。また、噛み合わせのバランスも確認し、必要に応じて調整を行います。 私の臨床経験では、定期検診を欠かさない患者さまのインプラントは、そうでない方に比べて明らかに長持ちする傾向があります。小さな問題も早期に発見できるため、大きなトラブルに発展する前に対処できるのです。 2. プロによる専門的クリーニングを受ける 歯科医院での定期検診時には、歯科衛生士によるプロフェッショナルクリーニングを受けることが重要です。インプラント専用の器具を使って、自分では落としきれない汚れや歯石を除去します。 特に注意すべきは、インプラントと歯肉の境目です。この部分に汚れが溜まりやすく、インプラント周囲炎の原因となります。プロによるクリーニングでは、この境目の汚れも確実に除去できます。 ただし、インプラントのクリーニングには専用の器具と技術が必要です。金属製のスケーラーなど、通常の歯のクリーニングで使う器具をそのまま使うと、インプラントの表面に傷がついてしまうことがあります。 当院では、インプラントの表面を傷つけないよう、チタン製やプラスチック製の専用器具を使用しています。また、超音波スケーラーを使用する場合も、インプラント専用のチップを使うなど、細心の注意を払っています。 3. 正しいブラッシング方法を身につける 自宅でのケアの基本は、やはり毎日のブラッシングです。インプラントの周りは特に丁寧に磨くことが大切です。 インプラントのブラッシングのポイントは、歯ブラシの毛先を歯と歯肉の境目に45度の角度で当て、小さく円を描くように磨くことです。力を入れすぎると歯肉を傷つけてしまうので、優しく丁寧に行いましょう。 歯ブラシは、毛先が柔らかめのものを選ぶのがおすすめです。硬すぎる歯ブラシは歯肉を傷つけることがあります。また、電動歯ブラシも効果的ですが、使用する際は強く押し付けないよう注意が必要です。 インプラントのセルフケアに役立つ補助用具 4. デンタルフロスや歯間ブラシを活用する 歯ブラシだけでは、インプラントと隣接する歯の間の汚れを完全に除去することは難しいです。そこで活躍するのがデンタルフロスや歯間ブラシです。 特にインプラントの周囲は、天然歯に比べて歯周ポケットが深くなりやすいため、フロスや歯間ブラシでの清掃が重要になります。 インプラント用のフロスには、フロス部分が少し固めになっているものもあります。これを使うと、インプラントと歯肉の境目の清掃がしやすくなります。 歯間ブラシは、インプラントと隣接する歯の間のスペースに合ったサイズを選ぶことが大切です。サイズが大きすぎると歯肉を傷つける可能性があるので、歯科医師や歯科衛生士に適切なサイズを相談するとよいでしょう。 私は患者さまに、「フロスや歯間ブラシは、テレビを見ながらなど、リラックスした時間に使うと続けやすい」とアドバイスしています。毎日の習慣にすることで、インプラントの寿命を大きく延ばすことができるのです。 5. 水流洗浄器(ウォーターピック)を取り入れる 水流洗浄器(ウォーターピック)は、水の勢いを利用してインプラント周囲の汚れを洗い流す器具です。歯ブラシやフロスでは届きにくい部分の清掃に効果的です。 特にインプラントブリッジや、複数のインプラントで支える総入れ歯(オールオン4やオールオン6など)を装着している方には、水流洗浄器が非常に役立ちます。インプラントと人工歯の間の隙間に溜まった食べかすを効果的に除去できるからです。 使用する際は、水圧を強くしすぎないように注意しましょう。強すぎる水圧は歯肉を傷つける可能性があります。初めは弱めの水圧から始めて、徐々に自分に合った強さを見つけるとよいでしょう。 インプラントの寿命に影響する生活習慣 6. 禁煙を心がける 喫煙はインプラントの寿命に大きく影響します。タバコに含まれるニコチンは血管を収縮させ、歯肉への血流を悪くします。その結果、インプラント周囲の組織の治癒力が低下し、インプラント周囲炎のリスクが高まるのです。 実際、喫煙者のインプラント失敗率は非喫煙者に比べて約2倍高いという研究結果もあります。インプラントの寿命を延ばすためには、禁煙が非常に効果的な方法と言えるでしょう。 どうしても禁煙が難しい場合は、せめてインプラント治療前後の一定期間(できれば2週間前から8週間後まで)は喫煙を控えることをお勧めします。また、定期的なメンテナンスをより頻繁に受けることで、喫煙によるリスクを少しでも軽減することが大切です。 7. バランスの良い食生活を送る 健康な歯肉と骨を維持するためには、バランスの良い食生活が欠かせません。特にカルシウムやビタミンCは、インプラント周囲の組織の健康維持に重要な栄養素です。 カルシウムは骨の形成に必要な栄養素で、乳製品や小魚、緑黄色野菜などに多く含まれています。ビタミンCは歯肉の健康維持に役立ち、柑橘類や緑黄色野菜に豊富に含まれています。 また、過度の糖分摂取は口腔内の細菌を増殖させ、インプラント周囲炎のリスクを高める可能性があります。甘いものの摂取は適度に抑え、摂取後はしっかりと歯磨きをすることが大切です。 私は患者さまに「インプラントのためだけでなく、全身の健康のためにも、バランスの良い食事を心がけてください」とお伝えしています。口腔の健康と全身の健康は密接に関連しているからです。 8. 異常を感じたらすぐに歯科医院を受診する インプラント周囲に違和感や痛み、腫れ、出血などの異常を感じたら、すぐに歯科医院を受診しましょう。早期発見・早期治療が、インプラントの寿命を延ばす鍵となります。 特に注意すべき症状としては、以下のようなものがあります: 歯磨き時の出血 インプラント周囲の歯肉の腫れや赤み 噛むと痛い、または違和感がある インプラントがぐらつく感じがする 口臭が強くなった これらの症状は、インプラント周囲炎の可能性を示しています。放置すると症状が悪化し、最終的にはインプラントの脱落につながることもあるので、早めの受診が重要です。 転院時のインプラントメンテナンスの注意点 引っ越しなどの理由で、インプラント治療を受けた歯科医院に通えなくなることもあるでしょう。その場合、新しい歯科医院でもインプラントのメンテナンスを継続することが大切です。 転院時には、以下のポイントに注意しましょう: インプラントの情報を伝える 新しい歯科医院では、あなたのインプラントについての情報が必要です。可能であれば、以前の歯科医院から以下の情報を入手しておくとよいでしょう: インプラントのメーカー名と型番 埋入手術の日付 インプラントの埋入位置 これまでのメンテナンス内容 これらの情報があれば、新しい歯科医院でもスムーズにメンテナンスを継続できます。情報が不明な場合でも、レントゲン撮影やCT撮影によって、ある程度の情報を得ることは可能です。 インプラント治療に精通した歯科医院を選ぶ 転院先は、できるだけインプラント治療に精通した歯科医院を選ぶことをお勧めします。日本口腔インプラント学会の専門医や認定医がいる医院、またはインプラント治療の実績が豊富な医院が望ましいでしょう。 インプラントのメンテナンスには専門的な知識と技術が必要です。特に、使用されているインプラントのシステムに対応できる医院を選ぶことが重要です。 インプラントメンテナンスに関するよくある質問 インプラントのメンテナンス費用はどれくらい? インプラントのメンテナンス費用は、歯科医院によって異なりますが、一般的には5,000円~15,000円程度です。検査内容や処置内容によって変動します。 保険適用外の自費診療となることが多いですが、中には保険診療の範囲内で基本的なメンテナンスを行っている医院もあります。事前に費用について確認しておくとよいでしょう。 費用面で心配がある場合は、医療費控除の制度を利用することも検討してみてください。年間の医療費が10万円を超えた場合、確定申告をすることで税金の一部が還付される可能性があります。 インプラントのメンテナンスを怠るとどうなる? メンテナンスを怠ると、インプラント周囲炎のリスクが高まります。初期段階では自覚症状がほとんどないため、気づいたときには症状が進行していることも少なくありません。 インプラント周囲炎が進行すると、インプラント周囲の骨が溶けていき、最終的にはインプラントが脱落してしまうこともあります。一度失われた骨を回復させることは非常に難しく、再度インプラント治療を行うことも困難になる可能性があります。 インプラント治療は決して安くない投資です。その投資を長く活かすためにも、定期的なメンテナンスは欠かせません。 まとめ:インプラントの寿命を延ばすためのポイント インプラントを長持ちさせるためのポイントをまとめると、以下の8つになります: 定期的な歯科検診を欠かさない(3~6ヶ月に1回) プロによる専門的クリーニングを受ける 正しいブラッシング方法を身につける デンタルフロスや歯間ブラシを活用する 水流洗浄器(ウォーターピック)を取り入れる 禁煙を心がける バランスの良い食生活を送る 異常を感じたらすぐに歯科医院を受診する インプラントは、適切なケアを行えば10年、15年、さらには20年以上も機能し続ける可能性があります。高額な治療費を支払って手に入れたインプラントを長く使い続けるためにも、日々のセルフケアと定期的なプロフェッショナルケアを欠かさないようにしましょう。 もし、インプラント治療をお考えの方や、すでにインプラントをお持ちの方で、メンテナンスについてさらに詳しく知りたい方は、ぜひ当院にご相談ください。患者さま一人ひとりの状態に合わせた、最適なメンテナンス方法をご提案いたします。 表参道AK歯科・矯正歯科では、インプラントのメンテナンスから治療まで幅広く対応しております。お気軽にご相談ください。 表参道AK歯科・矯正歯科 院長:小室 敦 https://doctorsfile.jp/h/197421/df/1/ 略歴 日本歯科大学 卒業 日本歯科大学附属病院 研修医 都内歯科医院 勤務医 都内インプラントセンター 副院長 都内矯正歯科専門医院 勤務医 都内審美・矯正歯科専門医院 院長 所属団体 日本矯正歯科学会 日本口腔インプラント学会 日本歯周病学会 日本歯科審美学会 日本臨床歯科学会(東京SJCD) 包括的矯正歯科研究会 下間矯正研修会インストラクター レベルアンカレッジシステム(LAS) 参加講習会 口腔インプラント専修医認定100時間コース JIADS(ペリオコース) 下間矯正研修会レギュラーコース 下間矯正研修会アドバンスコース 石井歯内療法研修会 SJCDレギュラーコース SJCDマスターコース SJCDマイクロコース コンセプトに基づく包括的矯正治療実践ベーシックコース (綿引 淳一 先生) 新臨床歯科矯正学研修会専門医コース 診断・治療編(石川 晴夫 先生) 新臨床歯科矯正学研修会専門医コース 応用編(石川 晴夫 先生) レベルアンカレッジシステム(LAS)レギュラーコース 他多数参加
2025.09.26
フルマウスインプラント治療の7つのメリットと注意点~専門医が解説
歯を失うことは、見た目だけでなく、咀嚼機能や発音、さらには全身の健康にも大きな影響を与えます。特に多くの歯を失った場合、その影響は計り知れません。そんな方々に希望をもたらす治療法が「フルマウスインプラント治療」です。 この記事では、歯科医師として多数のインプラント治療を手がけてきた経験から、フルマウスインプラント治療の7つのメリットと注意すべきポイントについて詳しく解説します。 「歯がボロボロで人前で笑えない」「総入れ歯では不安」という方にとって、この治療法は新たな人生のスタートになるかもしれません。 フルマウスインプラント治療とは?基本を理解しよう フルマウスインプラント治療は、すべての歯が失われた、または抜歯が必要な状態の患者様に対して行う包括的な治療法です。顎の骨に人工歯根(インプラント)を埋め込み、その上に人工の歯を装着することで、失った歯の機能と見た目を回復します。 従来の総入れ歯と異なり、骨に固定されるため安定性が高く、天然歯に近い噛み心地を実現できるのが大きな特徴です。 特に注目すべきは「オールオン4」や「オールオン6」といった最新のインプラントシステムです。これらは、わずか4〜6本のインプラントで上下の歯全体を支えることができる革新的な方法です。 従来のように歯1本ごとにインプラントを埋入する必要がなく、手術の負担や費用を抑えながらも、固定式の歯を手に入れることができます。 では、このフルマウスインプラント治療が選ばれる理由、そのメリットについて詳しく見ていきましょう。 フルマウスインプラント治療の7つのメリット 多くの歯を失った方にとって、フルマウスインプラント治療には数多くのメリットがあります。ここでは特に重要な7つのメリットを詳しく解説します。 1. 咀嚼力の大幅な回復 フルマウスインプラント治療の最大のメリットは、失われた咀嚼機能を大幅に回復できることです。インプラントは顎の骨にしっかりと固定されるため、総入れ歯と比較して格段に安定性が高くなります。 実際に私の患者様からは「硬いものも怖がらずに噛めるようになった」「食事の時間が再び楽しみになった」といった喜びの声をよく耳にします。食べられる食品の幅が広がることで、栄養バランスも改善され、全身の健康維持にも貢献するのです。 2. 審美性の向上 歯を失うと、顔の形も変わってきます。頬がこけたり、口元がしぼんだりして老けた印象になることも少なくありません。フルマウスインプラント治療では、失われた歯と共に顔の形態もサポートするため、若々しい表情を取り戻せます。 患者様の中には「人前で笑うのが怖くなくなった」「マスクを外すのが楽しみになった」と話される方も多く、心理的な面でも大きなメリットがあります。 3. 発音の改善 歯の喪失は発音にも影響します。特に総入れ歯の場合、安定性の問題から「サ行」や「タ行」などの発音が難しくなることがあります。フルマウスインプラントは口腔内でしっかり固定されるため、自然な発音が可能になります。 コミュニケーションがスムーズになることで、社会生活の質も大きく向上するでしょう。 4. 骨吸収の抑制 歯を失った後、使われなくなった顎の骨は徐々に痩せていく「骨吸収」という現象が起こります。これは見た目だけでなく、将来的な口腔機能にも影響を及ぼす深刻な問題です。 インプラントは人工の歯根として機能するため、噛む力が骨に伝わり、骨吸収を抑制する効果があります。長期的な口腔健康維持の観点からも、非常に重要なメリットといえるでしょう。 5. メンテナンスのしやすさ 総入れ歯と比較して、固定式のフルマウスインプラントは取り外しの手間がなく、日常のケアが容易です。専用の歯ブラシやデンタルフロスを使って、天然歯に近いお手入れが可能です。 特に高齢の患者様からは「入れ歯の着脱や洗浄の手間から解放された」という声をよく聞きます。認知症などで自己管理が難しくなった場合でも、介護者の負担軽減につながるメリットです。 6. 心理的な安心感 「入れ歯が外れるかもしれない」という不安から解放されることは、患者様の生活の質を大きく向上させます。食事中や会話中に歯が動く心配がなくなり、社交的な場面での自信を取り戻せます。 私が治療した60代の女性患者様は、「孫と思い切り遊べるようになった」と喜ばれていました。日常生活のさまざまな場面で安心感をもたらすのもフルマウスインプラントの大きなメリットです。 7. 長期的な経済性 初期費用は高額ですが、適切なケアを行えば10年以上、場合によっては一生使える可能性があります。一方、入れ歯は定期的な調整や作り直しが必要で、長期的に見ると意外とコストがかかります。 また、栄養状態の改善や社会活動の活性化による間接的な健康増進効果も、長期的な医療費削減につながる可能性があります。 フルマウスインプラント治療の種類と特徴 フルマウスインプラント治療にはいくつかの種類があり、患者様の骨の状態や希望に合わせて最適な方法を選択します。代表的な治療法について解説します。 オールオン4(All-on-4) オールオン4は、上下の顎それぞれに4本のインプラントを埋入し、その上に固定式の人工歯を装着する方法です。前方の2本は垂直に、後方の2本は傾斜させて埋入することで、骨量が少ない場合でも対応できるのが特徴です。 骨の移植が必要なケースでも回避できる可能性が高く、手術当日に仮歯を装着できる「即時荷重」が可能なケースも多いです。治療期間の短縮と身体的負担の軽減が大きなメリットです。 オールオン6(All-on-6) オールオン6は、6本のインプラントを使用する方法です。オールオン4と比較して、より安定性が高く、咬合力の強い方や骨質に不安がある場合に選択されることがあります。 特に上顎は骨質が下顎より軟らかい傾向があるため、より多くのインプラントで支えることで長期的な安定性を高めることができます。 フルマウスインプラント(従来法) 従来のフルマウスインプラント治療では、上下の顎にそれぞれ8〜10本程度のインプラントを埋入します。1本1本の歯に対応するわけではありませんが、より多くのインプラントで支えることで、非常に高い安定性を実現します。 骨の状態が良好で、より自然な感覚を求める方に適していますが、手術の規模や費用は大きくなる傾向があります。 フルマウスインプラント治療の注意点と限界 多くのメリットがあるフルマウスインプラント治療ですが、すべての方に適しているわけではありません。治療を検討する際に知っておくべき注意点や限界について説明します。 1. 全身疾患による制限 糖尿病(特に血糖コントロールが不良な場合)、骨粗鬆症、免疫系疾患、心疾患など、一部の全身疾患はインプラント治療のリスクを高める可能性があります。また、特定の薬(骨吸収抑制剤など)を服用している方も注意が必要です。 ただし、これらの疾患があるからといって必ずしも治療ができないわけではありません。主治医と歯科医師の連携により、適切な時期や方法で治療できる場合もあります。 2. 骨の状態による制約 インプラントを支えるためには、十分な量と質の顎骨が必要です。長期間歯を失っていた場合や歯周病が進行していた場合、骨が痩せてしまっていることがあります。 現代の歯科治療では、骨移植や骨再生療法、サイナスリフトなどの技術で対応できることも多いですが、治療期間の延長や費用の増加につながる可能性があります。 3. 喫煙によるリスク増加 喫煙は血流を悪化させ、治癒を遅らせるため、インプラント治療の成功率を下げる大きな要因です。特にフルマウスインプラントのような大規模な治療では、その影響はより顕著になります。 治療前の禁煙が強く推奨されますが、難しい場合は少なくとも手術前後の一定期間(2週間〜1ヶ月程度)は禁煙することが望ましいでしょう。 4. 治療費用の負担 フルマウスインプラント治療は保険適用外の自由診療となるため、費用負担は決して小さくありません。オールオン4タイプでも片顎300万円前後、上下で600万円程度かかることが一般的です。 ただし、多くの歯科医院ではデンタルローンなどの分割払いに対応しており、月々の負担を抑えることも可能です。長期的な視点で考えると、QOL(生活の質)の向上という点で価値ある投資といえるでしょう。 5. メンテナンスの必要性 インプラント治療後も定期的なメンテナンスは必須です。特にインプラント周囲炎(インプラント周囲の感染症)は、一度発症すると進行が早く、治療が難しいという特徴があります。 3〜6ヶ月に一度の定期検診と専門的なクリーニングを受けることで、長期的な成功率を高めることができます。 フルマウスインプラント治療の流れと期間 フルマウスインプラント治療は複数のステップで進行します。治療の全体像を理解することで、心の準備もしやすくなるでしょう。 1. 初診・カウンセリング まずは詳細な問診と口腔内検査を行います。CTスキャンなどの精密検査で骨の状態を評価し、治療計画を立案します。この段階で治療の選択肢や費用、期間などについて詳しく説明を受けることができます。 不安や疑問点はこの段階でしっかり解消しておくことが大切です。複数の医院でセカンドオピニオンを求めることも賢明な選択です。 2. 術前準備 必要に応じて残存歯の抜歯や歯周病治療、骨造成などの準備を行います。特に活動性の歯周病がある場合は、インプラント治療前に改善しておくことが重要です。 この段階での治療期間は、口腔内の状態によって大きく異なります。比較的健康な状態であれば数週間程度、骨造成などが必要な場合は数ヶ月かかることもあります。 3. インプラント手術 局所麻酔下(必要に応じて静脈内鎮静法も併用)でインプラントを埋入します。オールオン4などの場合、この段階で仮歯を装着することも可能です。 手術時間は片顎2〜3時間程度が一般的ですが、状態によって前後します。術後は腫れや痛みが生じることがありますが、処方された薬でコントロール可能です。 4. 治癒期間 インプラントと骨が結合する「オッセオインテグレーション」と呼ばれる過程には時間がかかります。即時荷重(手術当日に仮歯を装着)の場合でも、最終的な補綴物の装着までは3〜6ヶ月程度の治癒期間を設けることが一般的です。 この期間中も定期的な通院で経過観察を行い、必要に応じて仮歯の調整を行います。 5. 最終補綴物の装着 インプラントと骨の結合が確認できたら、最終的な人工歯を装着します。見た目や噛み合わせを細かく調整し、満足のいく結果を得られるまで微調整を行います。 最終補綴物の素材には、強度と審美性に優れたジルコニアが選ばれることが多いですが、患者様の希望や状況に応じて選択できます。 6. メンテナンス 治療完了後も定期的なメンテナンスが不可欠です。専門的なクリーニングと検査を受けることで、トラブルの早期発見・対応が可能になります。 日常のセルフケアについても詳しい指導を受け、長期的に良好な状態を維持することが大切です。 まとめ:フルマウスインプラント治療で人生を変える フルマウスインプラント治療は、多くの歯を失った方に新たな可能性をもたらす革新的な治療法です。咀嚼機能の回復、審美性の向上、発音の改善、骨吸収の抑制など、多くのメリットがあります。 一方で、全身疾患による制限、骨の状態による制約、費用負担、メンテナンスの必要性といった注意点も理解しておく必要があります。 適切な歯科医師との出会いも治療成功の重要な要素です。豊富な経験と実績を持ち、患者様の状態や希望に合わせた最適な治療計画を提案できる歯科医師を選ぶことをお勧めします。 歯の問題で悩まれている方は、まずは無料カウンセリングなどを利用して、ご自身の状態に合った治療法について相談してみてはいかがでしょうか。 新しい歯と共に、新しい人生の一歩を踏み出すお手伝いができれば幸いです。詳しい情報や個別のご相談は、表参道AK歯科・矯正歯科までお気軽にお問い合わせください。 表参道AK歯科・矯正歯科 院長:小室 敦 https://doctorsfile.jp/h/197421/df/1/ 略歴 日本歯科大学 卒業 日本歯科大学附属病院 研修医 都内歯科医院 勤務医 都内インプラントセンター 副院長 都内矯正歯科専門医院 勤務医 都内審美・矯正歯科専門医院 院長 所属団体 日本矯正歯科学会 日本口腔インプラント学会 日本歯周病学会 日本歯科審美学会 日本臨床歯科学会(東京SJCD) 包括的矯正歯科研究会 下間矯正研修会インストラクター レベルアンカレッジシステム(LAS) 参加講習会 口腔インプラント専修医認定100時間コース JIADS(ペリオコース) 下間矯正研修会レギュラーコース 下間矯正研修会アドバンスコース 石井歯内療法研修会 SJCDレギュラーコース SJCDマスターコース SJCDマイクロコース コンセプトに基づく包括的矯正治療実践ベーシックコース (綿引 淳一 先生) 新臨床歯科矯正学研修会専門医コース 診断・治療編(石川 晴夫 先生) 新臨床歯科矯正学研修会専門医コース 応用編(石川 晴夫 先生) レベルアンカレッジシステム(LAS)レギュラーコース 他多数参加
2025.09.26
インプラント治療の失敗リスクと後悔しないための6つの選択基準
インプラント治療の失敗リスクとは?現実的な視点で考える 「インプラント治療を検討しているけど、失敗するリスクが心配...」 歯を失った後の選択肢として注目されるインプラント治療。人工歯根を顎の骨に埋め込み、その上に人工の歯を装着する治療法は、見た目も機能も天然歯に近い状態を取り戻せる魅力的な選択肢です。しかし、どんな医療技術にもリスクは存在します。インプラント治療も例外ではありません。 私は日本歯科大学を卒業後、インプラント治療の分野で多くの症例を手がけてきました。累計1,000件以上の矯正治療実績とともに、インプラント治療においても難症例への対応経験を積み重ねています。その経験から言えるのは、インプラント治療の成功には「正しい知識」と「適切な歯科医院選び」が何よりも重要だということです。 この記事では、インプラント治療の失敗リスクとその原因を正直にお伝えするとともに、後悔しないための歯科医院選びの基準を解説します。これから治療を検討されている方が、正しい選択をするための一助となれば幸いです。 インプラント治療で起こりうる4つの主な失敗例 インプラント治療の失敗と一言で言っても、実際にはさまざまなケースがあります。私の臨床経験から、特に多い失敗例を4つご紹介します。 1. インプラントが骨と結合しない(オッセオインテグレーションの失敗) インプラント治療の根幹となるのが、チタン製のインプラント体と顎の骨がしっかりと結合する「オッセオインテグレーション」です。この結合が上手くいかないと、インプラントがグラついたり、最悪の場合は脱落したりします。 原因としては、喫煙習慣や糖尿病などの全身疾患、骨の質や量が不足している場合などが挙げられます。また、手術時の過度な熱発生や不適切な埋入位置も結合不良の原因となります。 2. インプラント周囲炎の発症 インプラント周囲炎は、インプラント周囲の組織に炎症が起きる状態です。天然歯の歯周病に似ていますが、進行が早く、治療も困難なことが特徴です。 日常的なメンテナンスが不十分だったり、喫煙や糖尿病などのリスク因子がある場合に発症リスクが高まります。インプラント周囲炎は、早期発見・早期治療が何より大切です。 私が診療で特に気をつけているのは、治療前の歯周病対策です。既存の歯周病をしっかり治療せずにインプラントを入れると、その細菌がインプラント周囲に感染するリスクが高まります。 3. 神経損傷や周囲組織へのダメージ 下顎には下歯槽神経、上顎には上顎洞という重要な組織があります。インプラント埋入時にこれらを傷つけてしまうと、痺れや痛み、違和感などの後遺症が残ることがあります。 こうした合併症を防ぐには、術前のCT撮影による精密な診断と、経験豊富な歯科医師による適切な手術計画が不可欠です。「安いから」という理由だけで歯科医院を選ぶと、こうしたリスクが高まる可能性があります。 4. 上部構造(人工歯)のトラブル インプラント体と骨の結合がうまくいっても、その上に装着する人工歯(上部構造)にトラブルが生じることがあります。噛み合わせが合わない、見た目に不満がある、破損するなどの問題です。 特に噛み合わせの問題は深刻で、過度な力がインプラントにかかり続けると、長期的に骨の吸収を引き起こす可能性があります。 あなたは自分の歯の状態に不安を感じていますか? インプラント治療が失敗する主な原因 インプラント治療の失敗には、いくつかの原因が考えられます。これらを理解することで、リスクを最小限に抑えることができるでしょう。 1. 術前診断・治療計画の不足 インプラント治療の成功は、術前の綿密な診断と計画にかかっています。CTスキャンなどの精密検査を行わず、骨の状態や神経の位置を正確に把握しないまま手術を行うと、様々なトラブルの原因となります。 私が院長を務める表参道AK歯科・矯正歯科では、3DスキャナーやAI分析などの最新デジタル機器を用いた精密な診断を徹底しています。これにより、患者様一人ひとりの口腔内状態に最適な治療計画を立案することが可能になります。 2. 歯科医師の経験・技術不足 インプラント治療は高度な専門性を要する治療です。経験や技術が不足している歯科医師が手術を行うと、インプラントの位置や角度が不適切になったり、周囲組織を傷つけたりするリスクが高まります。 日本口腔インプラント学会などの専門学会に所属し、継続的に研鑽を積んでいる歯科医師を選ぶことが重要です。私自身も日本矯正歯科学会、日本口腔インプラント学会をはじめとする複数の学会に所属し、最新の知見を治療に活かすよう努めています。 3. 患者側の要因 インプラント治療の成功には、患者様自身の協力も欠かせません。喫煙習慣、糖尿病などの全身疾患、不十分な口腔ケアなどは、インプラントの長期的な予後に悪影響を及ぼします。 特に喫煙は、骨との結合不良やインプラント周囲炎のリスクを大幅に高めることが知られています。治療前にこれらのリスク因子をコントロールすることが、長期的な成功につながります。 全身の健康状態や生活習慣について、正直に歯科医師に伝えることが大切です。隠し事をすると、予期せぬトラブルの原因になることがあります。 後悔しないインプラント治療のための6つの選択基準 インプラント治療で失敗や後悔をしないためには、適切な歯科医院選びが何よりも重要です。ここでは、私の経験から導き出した6つの選択基準をご紹介します。 1. 術前の精密検査と詳細な説明 信頼できる歯科医院では、CTスキャンなどの精密検査を行い、その結果に基づいた詳細な説明を行います。骨の状態、治療計画、リスク、代替治療法などについて、わかりやすく説明してくれるかどうかをチェックしましょう。 「とにかく早く治療を始めましょう」と急かす医院には注意が必要です。インプラント治療は慎重に進めるべき治療です。 2. 歯科医師の専門性と経験 インプラント治療を担当する歯科医師の経験症例数、所属学会、継続的な研修受講歴などを確認しましょう。特に難症例(骨が少ない、全身疾患がある等)の場合は、それらに対応した実績があるかどうかが重要です。 当院では、院長である私自身が診断・治療計画の立案を担当し、累計1,000件以上の矯正治療実績を活かした総合的な視点からインプラント治療を提案しています。 3. 衛生管理の徹底 インプラント手術は外科手術です。手術室の清潔度、器具の滅菌方法、スタッフの感染対策など、衛生管理が徹底されているかどうかをチェックしましょう。 見学や初診時に、スタッフの手袋交換や器具の取り扱いなどを観察することで、その医院の衛生管理レベルを知ることができます。 4. アフターケア体制の充実 インプラント治療は埋入手術で終わりではありません。定期的なメンテナンスや、万が一のトラブル時の対応体制が整っているかどうかも重要な選択基準です。 「治療後も長くお付き合いしていきたい」という姿勢の医院を選ぶことで、インプラントの長期的な成功率を高めることができます。 5. 明確な料金体系 インプラント治療は保険適用外の自由診療であることがほとんどです。治療前に、使用するインプラントの種類や材質、上部構造の材質、追加費用の可能性などについて、明確な説明があるかどうかを確認しましょう。 「格安インプラント」を謳う医院では、追加費用が発生するケースも少なくありません。総額でどれくらいかかるのかを事前に把握することが大切です。 6. 総合的な治療視点の有無 インプラント治療は、口腔内全体のバランスを考慮して行うべきものです。単に失った歯を補うだけでなく、噛み合わせや歯並び、顔貌のバランスまで考慮した治療計画を立ててくれる医院を選びましょう。 当院では「美〜beauty〜を創る」という理念のもと、歯の形、歯並び、歯肉、噛み合わせだけでなく、口元、筋肉、顔貌のバランスを診て、一人ひとりに合った治療を提案しています。 これら6つの基準をもとに歯科医院を選ぶことで、インプラント治療の失敗リスクを大幅に減らすことができるでしょう。 あなたは歯科医院を選ぶとき、どのような点を重視していますか? インプラント治療成功のための患者側の心構え インプラント治療の成功には、歯科医院選びだけでなく、患者様自身の協力も欠かせません。ここでは、治療を成功に導くための心構えについてお伝えします。 1. 正直な情報提供 全身疾患(糖尿病、高血圧など)、服用中の薬、アレルギー、喫煙習慣など、健康状態に関する情報は必ず正直に伝えましょう。これらの情報は、治療計画や予後に大きく影響します。 「言わなくても大丈夫だろう」と思って隠していると、予期せぬトラブルの原因になることがあります。 2. 治療計画の理解と納得 インプラント治療は、複数の選択肢がある場合が多いです。それぞれのメリット・デメリット、費用、期間などを十分に理解し、納得した上で治療を始めることが大切です。 わからないことや不安なことは、遠慮せずに質問しましょう。良い歯科医師は、患者様の疑問に丁寧に答えてくれるはずです。 3. 術後の注意事項の遵守 インプラント埋入後は、一定期間の注意事項があります。例えば、喫煙の制限、硬いものを噛まない、適切な口腔ケアなどです。これらを守ることで、治療の成功率を高めることができます。 「少しくらい大丈夫だろう」という気持ちが、思わぬトラブルを招くことがあります。医師の指示は必ず守りましょう。 4. 定期的なメンテナンスの継続 インプラント治療後も、定期的なメンテナンスが非常に重要です。インプラント周囲炎などのトラブルを早期に発見し、対処することで、長期的な成功につながります。 「もう大丈夫だろう」と自己判断でメンテナンスを中断すると、後になって大きな問題が発生することがあります。 これらの心構えを持って治療に臨むことで、インプラント治療の成功率を高め、長期的に満足できる結果を得ることができるでしょう。 まとめ:インプラント治療で後悔しないために インプラント治療は、失った歯の機能と審美性を回復するための素晴らしい選択肢です。しかし、すべての医療技術と同様に、リスクと失敗の可能性も存在します。 この記事でご紹介した失敗例や原因を理解し、6つの選択基準に基づいて歯科医院を選ぶことで、リスクを最小限に抑えることができます。また、患者様自身の適切な心構えと協力も、治療成功の重要な要素です。 表参道AK歯科・矯正歯科では、最新のデジタル機器を用いた精密診断、経験豊富な院長による治療計画の立案、そして患者様一人ひとりに合わせたオーダーメイドの治療提案を行っています。矯正治療とインプラント治療の両方に対応できる強みを活かし、口腔内全体のバランスを考慮した総合的な治療を提供しています。 インプラント治療をご検討の方は、まずは無料カウンセリングにてご相談ください。あなたの口腔内の状態を詳しく診査し、最適な治療法をご提案いたします。 「歯がボロボロで人前で笑えない」「総入れ歯では不安」「一気に口元を改善したい」─そんなお悩みを持つ方にこそ、インプラント治療は新しい人生のきっかけとなる選択肢です。 詳しくは表参道AK歯科・矯正歯科のホームページをご覧いただくか、お電話にてお気軽にお問い合わせください。あなたの理想の笑顔を取り戻すお手伝いをさせていただきます。 表参道AK歯科・矯正歯科 院長:小室 敦 https://doctorsfile.jp/h/197421/df/1/ 略歴 日本歯科大学 卒業 日本歯科大学附属病院 研修医 都内歯科医院 勤務医 都内インプラントセンター 副院長 都内矯正歯科専門医院 勤務医 都内審美・矯正歯科専門医院 院長 所属団体 日本矯正歯科学会 日本口腔インプラント学会 日本歯周病学会 日本歯科審美学会 日本臨床歯科学会(東京SJCD) 包括的矯正歯科研究会 下間矯正研修会インストラクター レベルアンカレッジシステム(LAS) 参加講習会 口腔インプラント専修医認定100時間コース JIADS(ペリオコース) 下間矯正研修会レギュラーコース 下間矯正研修会アドバンスコース 石井歯内療法研修会 SJCDレギュラーコース SJCDマスターコース SJCDマイクロコース コンセプトに基づく包括的矯正治療実践ベーシックコース (綿引 淳一 先生) 新臨床歯科矯正学研修会専門医コース 診断・治療編(石川 晴夫 先生) 新臨床歯科矯正学研修会専門医コース 応用編(石川 晴夫 先生) レベルアンカレッジシステム(LAS)レギュラーコース 他多数参加
2025.09.01
ガミースマイル矯正で笑顔をもっと自然に
ガミースマイルとは、笑ったときに歯茎が大きく見えてしまう状態を指します。軽度の場合はチャームポイントとされることもありますが、「笑うのに自信が持てない」「口を閉じにくい」といった悩みにつながるケースも少なくありません。 実は、ガミースマイルは矯正治療で改善できる場合があります。 原因によっては、歯列矯正だけで治療が可能なこともあり、外科手術が必須ではないケースも増えてきています。 ガミースマイル矯正が必要になる主な原因 ガミースマイルの原因は、大きく以下の3つに分けられます。 ①骨格や歯並びによるもの 出っ歯や口ゴボなどにより歯茎が目立つ 上顎が縦に長い、または歯が下がりすぎている→矯正治療(必要に応じてアンカースクリューの併用)で改善可能です。 ②上唇や筋肉の働きによるもの 上唇が薄い、または笑ったときにめくれすぎる 上唇を持ち上げる筋肉(上唇挙上筋)の働きが強い→矯正治療に加え、注射や粘膜切除で対応できる場合があります。 ③歯や歯茎の形態によるもの 歯が小さい、または歯肉が覆いかぶさっている→歯肉整形や歯冠長延長術で改善できます。 矯正治療で行うガミースマイル改善 表参道AK歯科では、外科的アプローチに頼らず、まずは矯正治療によるガミースマイル改善を目指します。 歯列を下げる矯正 出っ歯や口ゴボの場合、歯列矯正で前歯を下げることで歯茎の見え方を改善します。必要に応じて抜歯やアンカースクリューを使用し、効果的にコントロールします。 前歯の圧下(歯の位置を上げる矯正) 歯の位置が低く、歯茎が大きく見えている場合には、矯正治療で前歯を上方向に動かす「圧下」という方法を用います。アンカースクリューを組み合わせることで、難しい症例でも対応が可能です。 アンカースクリューを用いたガミースマイル矯正 チタン製の小さなネジを歯槽骨に設置し、矯正装置と組み合わせて歯列を効率的に動かす治療です。これにより、以前は外科手術が必要とされた症例でも、矯正のみで治療が可能となるケースが増えています。 ガミースマイルについてはこちら ガミースマイル矯正のメリット 笑顔が自然になり、自信が持てる 口の開閉がスムーズになる 歯茎の乾燥を防ぎ、虫歯・歯周病のリスク軽減 機能面・健康面の改善にもつながる 表参道AK歯科のガミースマイル矯正 当院では、ガミースマイルに対して「見た目の改善」だけでなく、噛み合わせやお口の機能面も考慮した矯正治療をご提案しています。 笑うと歯茎が気になる ガミースマイル矯正をしたいけど、手術は避けたい そんな方は、ぜひ一度ご相談ください。あなたに合った最適な治療法をご提案いたします。 ご予約はこちら
2025.08.29
大人の矯正治療で得られる7つのメリットと選び方ガイド
「大人になってから矯正治療をするのは遅いのでは?」「目立つ装置をつけるのが恥ずかしい…」そんな不安や悩みを抱えていませんか? 実は、大人の矯正治療を受ける方は年々増加しています。現代の矯正治療は技術の進歩により、目立ちにくい装置や治療期間の短縮など、大人の患者さまにも受け入れやすい選択肢が増えているのです。 当院では、これまで多くの大人の患者さまの矯正治療を担当してきました。歯並びが改善されることで、見た目の美しさだけでなく、お口の健康や全身の健康にも良い影響をもたらすことを実感しています。 この記事では、大人の矯正治療で得られる7つのメリットと、自分に合った矯正治療の選び方について詳しくご紹介します。矯正治療を検討されている方は、ぜひ参考にしてください。 大人の矯正治療が注目される理由 近年、20代、30代、40代以上の方々が矯正治療を始めるケースが増えています。これには様々な理由がありますが、主に以下の3つが挙げられます。 まず、矯正治療の選択肢が多様化したことです。従来の金属ブラケットだけでなく、白いセラミックブラケットや目立たない裏側矯正、さらには透明なマウスピース矯正など、ライフスタイルに合わせた選択が可能になりました。 次に、社会的な意識の変化です。歯並びを整えることが、単なる見た目の問題だけでなく、健康維持のための重要な要素として認識されるようになりました。虫歯や歯周病のリスク低減、咀嚼機能の向上など、長期的な健康への投資として捉える方が増えています。 そして、矯正治療に対する心理的ハードルの低下も大きな要因です。SNSの普及により、矯正治療の体験談や情報が広く共有されるようになり、「大人でも矯正治療は当たり前」という認識が広まっています。 矯正治療は年齢に関係なく始めることができます。歯を支える骨や歯根膜の健康状態が良好であれば、何歳からでも歯を動かすことは可能なのです。 あなたも、「もっと自信を持って笑いたい」「将来まで健康な歯を維持したい」と考えるなら、大人の矯正治療を検討してみる価値があるでしょう。 大人の矯正治療で得られる7つのメリット 大人になってから矯正治療を始めることで、様々なメリットを得ることができます。ここでは、特に重要な7つのメリットについて詳しく解説します。 1. 見た目の改善とコンプレックスの解消 歯並びが整うことで、笑顔に自信が持てるようになります。これまで口元を隠して笑っていた方も、堂々と笑えるようになるでしょう。 実際に当院の患者さまからは、「人前で話すことが苦手だったけど、矯正治療後は自信を持って話せるようになった」「写真を撮るのが楽しくなった」といった声をよくいただきます。 特に、仕事で人と接する機会が多い方にとっては、第一印象の向上につながり、ビジネスシーンでも大きなアドバンテージとなります。 2. 虫歯や歯周病のリスク低減 歯並びが悪いと、歯ブラシが届きにくい場所ができ、プラークが溜まりやすくなります。これが虫歯や歯周病の原因となります。 矯正治療によって歯並びが整うと、歯磨きがしやすくなり、お口の清掃性が向上します。その結果、虫歯や歯周病のリスクが大幅に減少するのです。 特に大人の場合、年齢とともに歯周病のリスクが高まるため、予防という観点からも矯正治療の価値は大きいと言えます。 3. 咀嚼機能の向上と消化の改善 歯並びや噛み合わせが悪いと、食べ物を十分に噛み砕くことができず、消化不良を引き起こすことがあります。矯正治療によって噛み合わせが改善されると、食べ物を効率よく噛むことができるようになります。 これにより、消化器官への負担が減少し、栄養の吸収効率も向上します。「矯正治療後は食事がより楽しくなった」という患者さまも多いです。 4. 発音の改善 歯並びは発音にも大きく影響します。特に前歯の位置や隙間は、「サ行」や「タ行」などの発音に関わっています。 矯正治療によって歯並びが整うと、これまで気になっていた発音の問題が改善されることがあります。スピーチや会話がスムーズになり、コミュニケーションの質が向上するでしょう。 5. 顎関節症状の緩和 不正咬合(噛み合わせの問題)は、顎関節に負担をかけ、顎関節症の原因となることがあります。顎関節症になると、顎の痛みや開口制限、顎の音などの症状が現れます。 矯正治療によって噛み合わせが改善されると、顎関節への負担が軽減され、これらの症状が緩和されることが期待できます。 6. 将来の歯の喪失リスクの低減 歯並びが悪いと、特定の歯に過度な力がかかることがあります。これが長期間続くと、歯の摩耗や骨の吸収が進み、最終的には歯の喪失につながる可能性があります。 矯正治療によって歯並びを整えることで、咬合力が均等に分散され、歯の寿命を延ばすことができます。将来にわたって自分の歯で食事を楽しむために、矯正治療は有効な選択肢と言えるでしょう。 7. 全身の健康への好影響 お口の健康は全身の健康と密接に関連しています。歯周病は糖尿病や心疾患、認知症などのリスク因子となることが研究で示されています。 矯正治療によって歯並びが改善し、口腔衛生状態が向上することで、これらの全身疾患のリスク低減にも貢献する可能性があります。 また、噛み合わせの改善は姿勢にも良い影響を与えることがあります。頭痛や肩こりの軽減につながったという報告もあります。 このように、大人の矯正治療は見た目の改善だけでなく、健康面でも多くのメリットをもたらします。長期的な視点で考えると、矯正治療は自分自身への価値ある投資と言えるでしょう。 大人の矯正治療の種類と特徴 大人の矯正治療には様々な種類があり、それぞれに特徴があります。ご自身のライフスタイルや希望に合わせて選ぶことが大切です。ここでは、主な矯正治療の種類と特徴を解説します。 表側矯正(ワイヤー矯正) 最も一般的な矯正方法で、歯の表側にブラケットを装着し、ワイヤーを通して歯を動かします。近年では、金属製だけでなく白いセラミック製のブラケットも選べるようになり、見た目の抵抗感が軽減されています。 メリット:幅広い症例に対応可能で、複雑な歯の動きも確実にコントロールできます。他の矯正方法と比較して費用が抑えられる傾向があります。 デメリット:装置が目立つため、人前に出ることが多い方は気になる場合があります。また、装置によって口内炎ができることもあります。 裏側矯正(舌側矯正) 歯の裏側(舌側)にブラケットを装着する矯正方法です。外からは装置が見えないため、見た目を気にする方に人気があります。 メリット:装置が外から見えないため、人前に出る機会が多い方や見た目を重視する方に適しています。表側矯正と同様に、幅広い症例に対応可能です。 デメリット:装置が舌に当たるため、発音しづらさや違和感を感じることがあります。また、表側矯正に比べて費用が高くなる傾向があります。 マウスピース矯正(インビザライン等) 透明なマウスピースを使用する矯正方法です。歯型を元に作製した透明なマウスピースを装着し、少しずつ歯を動かしていきます。当院でも多くの患者さまに選ばれている治療法です。 メリット:透明なので目立ちにくく、取り外しができるため食事や歯磨きの際に不便がありません。また、金属アレルギーの心配もありません。 デメリット:複雑な症例には不向きな場合があります。また、1日20時間以上の装着が必要で、自己管理が重要です。 部分矯正 前歯など、特定の部分だけを矯正する方法です。全体的な噛み合わせの改善よりも、見た目の改善を主な目的としています。 メリット:治療期間が短く、費用も抑えられる傾向があります。見た目の改善を手軽に実現したい方に適しています。 デメリット:噛み合わせ全体の改善には限界があります。また、後戻りのリスクが比較的高いことがあります。 歯科矯正用アンカースクリュー併用の矯正 小さなチタン製のスクリューを顎の骨に一時的に埋め込み、それを固定源として歯を効率的に動かす方法です。 メリット:複雑な歯の動きが可能になり、治療期間の短縮が期待できます。抜歯を回避できる場合もあります。 デメリット:スクリューの埋入には軽度の外科処置が必要です。 これらの矯正方法は、症例や希望によって組み合わせることも可能です。例えば、マウスピース矯正と部分矯正を組み合わせたり、アンカースクリューを併用したりすることで、より効果的な治療が実現できます。 どの矯正方法が自分に合っているかは、歯科医師との詳しいカウンセリングを通じて決めていくことが大切です。当院では、患者さま一人ひとりの状態や希望に合わせた最適な治療法をご提案しています。 大人の矯正治療で気になるデメリットとリスク 矯正治療には多くのメリットがありますが、同時にデメリットやリスクもあります。治療を検討する際には、これらについても正しく理解しておくことが大切です。 痛みや違和感 矯正装置を装着した直後や調整後には、歯に圧力がかかることによる痛みや違和感を感じることがあります。通常、この症状は数日で軽減しますが、個人差があります。 痛みの程度は装置の種類や調整の内容によっても異なります。マウスピース矯正は比較的痛みが少ないと言われていますが、新しいマウスピースに交換する際には一時的に違和感を感じることがあります。 治療中の見た目の変化 表側矯正では装置が目立つため、人前に出ることが多い方は精神的なストレスを感じることがあります。また、矯正治療の過程で一時的に歯並びが不自然に見えることもあります。 この点については、裏側矯正やマウスピース矯正を選ぶことで軽減できますが、完全に目立たなくすることは難しい場合もあります。 口腔衛生管理の難しさ 矯正装置があると、歯磨きやフロスが通常より難しくなります。特に表側矯正や裏側矯正では、装置の周りに食べかすが溜まりやすく、丁寧な清掃が必要です。 清掃が不十分だと、虫歯や歯周病のリスクが高まります。マウスピース矯正は取り外して歯磨きができるため、この点では有利ですが、マウスピース自体の清掃も必要です。 歯根吸収のリスク 矯正治療中に歯を動かす過程で、稀に歯根の一部が吸収されることがあります。これを歯根吸収と言います。多くの場合は軽度で臨床的に問題になることは少ないですが、重度の場合は歯の寿命に影響する可能性があります。 歯根吸収のリスクは、治療期間の長さや歯にかける力の強さなどによって異なります。定期的なレントゲン検査によって状態を確認しながら治療を進めることが重要です。 後戻りの可能性 矯正治療が終了した後、適切な保定処置(リテーナー装着など)を行わないと、歯が元の位置に戻ろうとする「後戻り」が生じることがあります。 後戻りを防ぐためには、医師の指示に従ってリテーナーを装着することが非常に重要です。保定期間は個人差がありますが、場合によっては長期間または一生涯にわたることもあります。 これらのデメリットやリスクは、適切な歯科医院選びと、医師の指示に従った自己管理によって最小限に抑えることができます。治療前のカウンセリングでは、これらの点についても詳しく説明を受け、十分に理解した上で治療を開始することが大切です。 大人の矯正治療の選び方ガイド 大人の矯正治療を始める際には、自分に合った治療法と信頼できる歯科医院を選ぶことが成功の鍵となります。ここでは、矯正治療の選び方について詳しくご紹介します。 自分の症状と目標を明確にする まず、自分がどのような点を改善したいのかを明確にしましょう。見た目の改善が主な目的なのか、噛み合わせの問題を解決したいのか、あるいはその両方なのか。また、どの程度の期間や費用をかけられるのかも考慮することが大切です。 例えば、人前に出る機会が多く、装置が目立つことを避けたい場合は、マウスピース矯正や裏側矯正が適しているかもしれません。一方、複雑な症例で確実な治療効果を求める場合は、表側矯正が適している可能性があります。 矯正専門医の選び方 矯正治療の成功には、経験豊富な専門医の存在が不可欠です。以下のポイントを参考に、信頼できる医師を選びましょう。 矯正歯科の専門的な知識と経験があるか 症例数が豊富で、自分と似たケースの治療実績があるか 使用する装置や技術が最新のものか カウンセリングで丁寧な説明をしてくれるか 治療計画や費用について透明性があるか アフターケアや緊急時の対応体制が整っているか 当院では、日本矯正歯科学会をはじめとする専門学会に所属し、最新の知識と技術を習得するために定期的な研修を受けています。また、3Dスキャナーやデジタル診断技術を導入し、より精密で効果的な治療を提供しています。 カウンセリングで確認すべきポイント 初回のカウンセリングでは、以下の点について詳しく確認することをおすすめします。 自分の症例に最適な治療法は何か 治療期間はどのくらいか 治療費の総額と支払い方法 治療中の通院頻度 治療中の制限事項(食事や生活習慣など) 考えられるリスクや副作用 治療後のアフターケア これらの点について十分に理解し、納得した上で治療を開始することが重要です。不明点や不安な点があれば、遠慮なく質問しましょう。 費用と支払い方法の確認 矯正治療は保険適用外の自費診療となる場合が多く、一定の費用がかかります。治療法や症例の複雑さによって費用は異なりますが、事前に総額と支払い方法を確認しておくことが大切です。 当院では、治療費の分割払いやデンタルローンにも対応しており、患者さまの経済的負担を軽減するお手伝いをしています。また、トータルフィーシステムを採用しており、毎月の調整料や保定管理料が無料となっています。 デジタル技術を活用した医院を選ぶ 近年の矯正治療では、3Dスキャナーやデジタルシミュレーションなどの最新技術が活用されています。これらの技術を導入している医院では、より精密な診断と治療計画の立案が可能です。 当院では、3Dスキャナーやデジタル分析システムを導入し、従来の方法よりも正確な診断と効率的な治療を実現しています。また、治療前にシミュレーションを行うことで、治療後のイメージを具体的に把握していただくことができます。 矯正治療は長期にわたるものですので、信頼関係を築ける医師と医院を選ぶことが何よりも重要です。複数の医院でカウンセリングを受け、比較検討することもおすすめします。 大人の矯正治療の流れと期間 矯正治療は一般的に以下のような流れで進みます。治療の全体像を理解することで、心の準備もしやすくなるでしょう。 初診・カウンセリング まずは初診でのカウンセリングから始まります。ここでは、患者さまの主訴(悩みや希望)をお聞きし、簡単な口腔内診査を行います。 当院では無料カウンセリングを実施しており、矯正治療に関する疑問や不安にお答えしています。「いきなり治療に入るのは怖い」「他院の話も聞きたいからまず相談だけ」という方も、お気軽にご相談いただけます。 精密検査 カウンセリング後、治療を進める場合は精密検査を行います。レントゲン撮影、口腔内写真撮影、歯型採取などを通じて、歯や顎の状態を詳細に分析します。 当院では、3Dスキャナーを使用した精密な歯型採取やAI分析システムを活用し、より正確な診断を行っています。これにより、従来の方法では見落とされがちな問題点も把握することができます。 診断・治療計画の説明 検査結果をもとに、医師が診断と治療計画を立案します。その後、患者さまに対して現在の状態と治療計画について詳しく説明します。 治療法の選択肢、予想される治療期間、費用、考えられるリスクなどについて説明し、患者さまの同意を得た上で治療を開始します。 治療開始 治療計画に基づいて矯正装置を装着します。装置の種類によって装着方法は異なりますが、一般的には1〜2時間程度かかります。 装置装着後は、装置の使用方法や注意点について説明を受けます。特に、口腔衛生管理の方法は重要ですので、しっかりと理解しておきましょう。 定期的な調整 装置装着後は、定期的に通院して調整を行います。通院頻度は治療法や症例によって異なりますが、一般的には以下のようになります。 表側矯正・裏側矯正:4〜6週間に1回 マウスピース矯正:6〜8週間に1回 調整の際には、治療の進捗状況を確認し、必要に応じて装置の調整や交換を行います。また、口腔衛生状態のチェックも重要な項目です。 治療完了・保定 予定していた歯の移動が完了したら、矯正装置を外します。その後、歯が元の位置に戻るのを防ぐために「保定装置(リテーナー)」を装着します。 保定期間は個人差がありますが、一般的には治療期間と同等かそれ以上の期間が必要とされています。リテーナーの装着時間や管理方法については、医師の指示に従うことが重要です。 治療期間の目安 矯正治療の期間は症例の複雑さや選択する治療法によって大きく異なりますが、一般的な目安は以下の通りです。 軽度の症例:約6ヶ月〜1年 中程度の症例:約1年〜2年 複雑な症例:約2年〜3年 マウスピース矯正や部分矯正は、比較的短期間で完了することが多いですが、症例によっては従来の矯正治療と同等の期間が必要な場合もあります。 また、歯科矯正用アンカースクリューを併用することで、従来よりも治療期間を短縮できる場合があります。 治療期間は個人差が大きいため、正確な期間は初診時の検査と診断を経て、医師から説明を受けることをおすすめします。 まとめ:大人の矯正治療で新たな自分に出会う この記事では、大人の矯正治療で得られる7つのメリットと選び方について詳しく解説しました。大人になってからの矯正治療は決して遅くはなく、見た目の改善だけでなく、口腔健康や全身の健康にも良い影響をもたらします。 矯正治療を検討する際には、自分の症状や目標、ライフスタイルに合った治療法を選ぶことが大切です。また、経験豊富な専門医による適切な診断と治療計画が成功の鍵となります。 当院では、患者さま一人ひとりの状態や希望に合わせた最適な治療法をご提案しています。最新のデジタル技術を活用した精密な診断と、豊富な治療実績に基づく確かな技術で、理想の笑顔をサポートします。 矯正治療は一定の期間と費用がかかりますが、その先にある自信に満ちた笑顔と健康なお口は、かけがえのない価値があります。「もっと自分に自信を持ちたい」「将来まで健康な歯を維持したい」とお考えの方は、ぜひ一度カウンセリングにお越しください。 表参道AK歯科・矯正歯科では、無料カウンセリングを実施しております。矯正治療に関する疑問や不安、他院での治療についてのセカンドオピニオンなど、どんなことでもお気軽にご相談ください。 詳細はマウスピース矯正、ガミースマイルのページをご覧いただくか、お電話でお問い合わせください。あなたの理想の笑顔を一緒に実現しましょう。 表参道AK歯科・矯正歯科 院長:小室 敦 https://doctorsfile.jp/h/197421/df/1/ 略歴 日本歯科大学 卒業 日本歯科大学附属病院 研修医 都内歯科医院 勤務医 都内インプラントセンター 副院長 都内矯正歯科専門医院 勤務医 都内審美・矯正歯科専門医院 院長 所属団体 日本矯正歯科学会 日本口腔インプラント学会 日本歯周病学会 日本歯科審美学会 日本臨床歯科学会(東京SJCD) 包括的矯正歯科研究会 下間矯正研修会インストラクター レベルアンカレッジシステム(LAS) 参加講習会 口腔インプラント専修医認定100時間コース JIADS(ペリオコース) 下間矯正研修会レギュラーコース 下間矯正研修会アドバンスコース 石井歯内療法研修会 SJCDレギュラーコース SJCDマスターコース SJCDマイクロコース コンセプトに基づく包括的矯正治療実践ベーシックコース (綿引 淳一 先生) 新臨床歯科矯正学研修会専門医コース 診断・治療編(石川 晴夫 先生) 新臨床歯科矯正学研修会専門医コース 応用編(石川 晴夫 先生) レベルアンカレッジシステム(LAS)レギュラーコース 他多数参加
2025.08.29
矯正治療の失敗リスクとその予防法〜専門医が教える注意点
矯正治療の失敗リスクとは?専門医が解説 矯正治療は美しい歯並びを手に入れるための素晴らしい選択肢です。しかし、どんな医療行為にもリスクは存在します。 矯正治療を始める前に、起こりうる失敗のリスクを知っておくことは、治療の成功率を高める重要なステップなのです。 私は日本矯正歯科学会に所属し、これまで1,000件以上の矯正治療を担当してきました。その経験から言えることは、失敗のほとんどは「予防できるもの」だということです。 あなたは矯正治療に興味をお持ちでしょうか? もしくは、すでに治療を始めていて不安を感じていますか? この記事では、矯正治療で起こりうる失敗リスクとその予防法について、専門医の立場から詳しくお伝えします。これから矯正を考えている方も、すでに治療中の方も、ぜひ参考にしてください。 矯正治療で起こりうる主な失敗例 矯正治療の失敗と一言で言っても、様々なケースがあります。ここでは、臨床でよく見られる主な失敗例をご紹介します。 これらを知っておくことで、自分の治療がうまくいっているかどうかを判断する目安になるでしょう。また、治療前の方は、これから説明する失敗例を予防するための質問を歯科医師にできるようになります。 1. 噛み合わせの悪化 矯正治療の目的は見た目の改善だけでなく、機能的な噛み合わせを獲得することです。しかし、治療計画が不適切だったり、患者さんが指示を守らなかったりすると、噛み合わせが悪化することがあります。 具体的には、奥歯が正しく噛み合わない「開咬」や、上下の歯の中心線がずれる「正中のズレ」などの問題が生じることがあります。これらは見た目の問題だけでなく、顎関節症や頭痛の原因にもなり得ます。 2. 歯根吸収のリスク 矯正治療中に過度な力がかかると、歯の根っこが短くなる「歯根吸収」が起こることがあります。歯根吸収が進むと、歯がグラつき、最悪の場合は抜歯が必要になることもあるのです。 特に、治療期間が長期化した場合や、強い力で急速に歯を動かそうとした場合にリスクが高まります。定期的なレントゲン検査で歯根の状態を確認することが重要です。 3. 歯肉退縮(歯茎が下がる) 矯正力によって歯が動く際、歯茎が下がってしまうことがあります。これを「歯肉退縮」と呼びます。歯肉が退縮すると、歯の根っこが露出し、知覚過敏や見た目の問題を引き起こすことがあります。 特に、もともと歯周病がある方や、歯ブラシの当て方が強い方は注意が必要です。適切な口腔ケアと定期的な歯科検診が予防には欠かせません。 4. 虫歯や歯周病の悪化 矯正装置を装着すると、歯磨きがしづらくなります。特にワイヤー矯正の場合は、ブラケットの周りに食べかすが溜まりやすく、虫歯や歯周病のリスクが高まります。 マウスピース矯正でも、装置を外さずに飲食をすると、糖分や酸が歯と装置の間に閉じ込められ、虫歯のリスクが高まります。日々の丁寧な歯磨きと定期的なクリーニングが必要です。 矯正治療が失敗する主な原因 矯正治療の失敗には、いくつかの共通した原因があります。これらを理解することで、自分の治療がリスクを抱えていないか確認できるようになります。 1. 歯科医師の経験不足 矯正治療は高度な専門性が求められる分野です。経験の浅い歯科医師や、矯正を専門としていない一般歯科医が行うと、適切な治療計画を立てられないことがあります。 例えば、歯を動かすスペースの見積もりを間違えたり、顎の成長を考慮しなかったりすると、予想外の結果になる可能性があります。また、患者さんの生活習慣や口腔の状態を十分に考慮せずに治療を進めてしまうと、治療中に問題が発生したり、治療後に歯が元に戻りやすくなったりします。 このようなリスクを避けるためには、矯正治療の経験が豊富な専門医を選ぶことが重要です。専門医は最新の技術や知識を持っており、複雑なケースにも対応できる能力があります。また、3Dシミュレーションなどの先進技術を使って、より精密な治療計画を立てることができます。 2. 不適切な治療計画 矯正治療の成功は、治療前の診断と治療計画に大きく依存します。顔の形や骨格、歯の状態を総合的に分析せずに治療を始めると、見た目は良くなっても機能的な問題が残ることがあります。 特に、抜歯の判断は慎重に行う必要があります。不必要な抜歯は顔の形を変えてしまうことがありますし、抜歯が必要なケースでそれを避けると、歯並びが不安定になり後戻りしやすくなります。 また、顎関節の問題を見落として治療を進めると、治療中に顎関節症が悪化することもあります。治療前には、レントゲンやCT、顔写真、歯型などを用いた総合的な診断が不可欠です。 3. 患者側の要因 矯正治療の成功には、患者さん自身の協力も欠かせません。特に以下のような点が重要です: 装着時間の不足:マウスピース矯正では、1日20〜22時間の装着が必要です。これを守らないと、歯が計画通りに動かず、治療期間が延びたり、効果が不十分になったりします。 口腔ケアの不足:矯正装置があると歯磨きが難しくなりますが、それでも丁寧なケアが必要です。不十分だと、虫歯や歯周病のリスクが高まります。 定期検診の欠席:定期的な調整や検診を欠かすと、問題を早期に発見できず、治療が長引くことがあります。 硬いものを噛む習慣:矯正装置が破損したり、歯の動きが妨げられたりする原因になります。 これらの要因を理解し、医師の指示を守ることが、治療の成功には不可欠なのです。 失敗リスクを減らす具体的な予防法 矯正治療の失敗リスクを減らすために、患者さん自身ができることはたくさんあります。ここでは、治療の各段階で実践できる具体的な予防法をご紹介します。 治療前:適切な歯科医選びと準備 矯正治療の成功は、適切な歯科医選びから始まります。以下のポイントを参考にしてください: 矯正歯科の専門医を選ぶ:日本矯正歯科学会の認定医や専門医の資格を持つ歯科医師を選びましょう。 治療実績を確認する:過去の症例写真や患者の体験談を確認し、実績を評価しましょう。 複数の医院でセカンドオピニオンを受ける:治療計画や費用が大きく異なる場合は、なぜその違いがあるのか質問しましょう。 治療前の口腔内を健康な状態にする:虫歯や歯周病がある場合は、矯正治療前に治療を完了させましょう。 詳細な説明を求める:治療計画、期間、費用、リスク、代替治療法について詳しく説明を受けましょう。 私は患者さんに必ず治療前のリスク説明を行います。「この治療にはこういうリスクがありますよ」と伝えることで、患者さんの心構えも変わりますし、予防意識も高まるのです。 治療中:日々のケアと医師の指示遵守 治療中は、以下のポイントに注意して日々のケアを行いましょう: 徹底した口腔ケア:矯正装置の周りは特に丁寧に歯磨きを行い、必要に応じて歯間ブラシやウォーターフロスを使用しましょう。 定期検診を欠かさない:予約された調整日には必ず来院し、問題があれば早めに相談しましょう。 装着時間を守る:マウスピース矯正の場合、指示された装着時間(通常20〜22時間/日)を厳守しましょう。 食事制限を守る:ワイヤー矯正中は硬いものや粘着性の食べ物を避け、マウスピース矯正中は装置を外して食事をし、食後は歯磨きをしてから装置を装着しましょう。 異常を感じたら早めに相談:痛みや不快感が続く場合は、我慢せずに歯科医師に相談しましょう。 治療中の定期検診は単なるチェックではありません。歯の動きを確認し、計画通りに進んでいない場合は治療計画を調整します。これにより、失敗リスクを大幅に減らすことができるのです。 治療後:後戻り防止と定期メンテナンス 矯正治療が終わっても、油断は禁物です。後戻りを防ぐために以下のポイントを守りましょう: 保定装置(リテーナー)の使用:指示された期間と時間、リテーナーを必ず装着しましょう。通常、最初の数か月は終日装着し、その後徐々に夜間のみの装着に移行します。 定期的なメンテナンス:矯正治療後も定期的に歯科医院を受診し、歯並びや噛み合わせの変化をチェックしてもらいましょう。 口腔ケアの継続:良好な口腔衛生状態を維持し、虫歯や歯周病を予防しましょう。 悪習慣の改善:爪噛みや頬杖などの癖は、歯並びに悪影響を与える可能性があります。意識して改善しましょう。 私が特に強調したいのは、リテーナーの重要性です。どんなに素晴らしい矯正結果を得ても、リテーナーを正しく使用しなければ、歯は元の位置に戻ろうとします。リテーナーは「矯正治療の保険」と考えてください。 矯正方法別の失敗リスクと対策 矯正方法によって、失敗リスクや注意点は異なります。ここでは、代表的な矯正方法ごとのリスクと対策を解説します。 表側矯正(一般的なワイヤー矯正) 表側矯正は、歯の表面にブラケットを接着し、ワイヤーを通して歯を動かす最も一般的な矯正方法です。 主なリスク: 歯磨きが難しく、虫歯や歯周病のリスクが高まる 装置による口内炎や擦れ 食べ物の制限が必要 ブラケットが外れると治療が遅れる 対策: 専用の歯ブラシや歯間ブラシを使用した丁寧な歯磨き 矯正用ワックスを使って口内炎を予防 硬いものや粘着性の食べ物を避ける ブラケットが外れたら早めに歯科医院を受診 裏側矯正(舌側矯正) 裏側矯正は、歯の裏側(舌側)にブラケットを接着する方法で、外から見えないのが特徴です。 主なリスク: 歯磨きがさらに難しく、虫歯リスクが高い 舌の違和感や発音障害が生じやすい 調整が技術的に難しく、経験豊富な医師が必要 治療費が高額になりやすい 対策: ウォーターフロスなどを活用した徹底的な口腔ケア 慣れるまでの辛抱と発音練習 裏側矯正の経験が豊富な専門医を選ぶ 定期的な検診で問題を早期発見 マウスピース矯正(インビザラインなど) マウスピース矯正は、透明なプラスチック製のマウスピースを使用する方法で、目立ちにくく取り外し可能なのが特徴です。 主なリスク: 装着時間が不足すると効果が出ない 複雑な歯の動きには不向きな場合がある マウスピースを外した状態での飲食後、歯磨きをせずに装着すると虫歯リスクが高まる 紛失や破損のリスク 対策: 1日20〜22時間の装着を厳守 複雑なケースでは他の矯正方法との併用を検討 食事後は必ず歯磨きをしてから装着 専用ケースを常に携帯し、熱湯や高温の場所を避ける 私の臨床経験では、マウスピース矯正は患者さんの協力度が特に重要です。装着時間を守らない患者さんは、治療期間が大幅に延びたり、期待した結果が得られないことがよくあります。 矯正治療が失敗した場合の対処法 万が一、矯正治療が思うような結果にならなかった場合、どのように対処すべきでしょうか。諦める必要はありません。適切な対応で問題を解決できる可能性があります。 現在の担当医との相談 まず最初に行うべきは、現在の担当医に率直に相談することです。治療結果に不満がある場合、その具体的な内容を伝え、改善の可能性について話し合いましょう。 良い歯科医師であれば、患者さんの不満や懸念に真摯に向き合い、解決策を提案してくれるはずです。場合によっては、追加の調整や部分的な再治療が必要かもしれません。 ただし、担当医が問題を認めなかったり、適切な対応をしてくれない場合は、セカンドオピニオンを求めることも検討しましょう。 セカンドオピニオンの重要性 別の矯正専門医にセカンドオピニオンを求めることで、客観的な評価と新たな治療オプションを得ることができます。セカンドオピニオンを求める際は、以下の点に注意しましょう: 現在の治療内容や経過がわかる資料(レントゲン、写真など)を持参する これまでの治療で感じた問題点や不満を具体的に伝える 改善のために何ができるかを率直に相談する 複数の専門医の意見を聞くことも検討する セカンドオピニオンは「現在の担当医を裏切る」ことではありません。あなたの健康と満足のために必要なプロセスです。 再治療の選択肢 矯正治療の結果に重大な問題がある場合、再治療が必要になることもあります。再治療を検討する際のポイントは以下の通りです: 再治療の目標と期間を明確にする 費用面での配慮(初回治療の担当医が再治療を行う場合、費用が軽減されることもある) 再治療に最適な矯正方法の選択(初回と同じ方法が最適とは限らない) 口腔内の状態(歯の健康状態、骨の状態など)を考慮した計画 再治療は初回よりも複雑になることが多いため、経験豊富な専門医を選ぶことが特に重要です。 私の臨床では、他院での治療がうまくいかなかったケースの再治療も多く担当しています。患者さんの多くは「もっと早くセカンドオピニオンを求めればよかった」と話されます。違和感を感じたら、早めに相談することをお勧めします。 まとめ:失敗しない矯正治療のために 矯正治療の失敗リスクとその予防法について詳しく解説してきました。最後に、失敗しない矯正治療のための重要ポイントをまとめます。 信頼できる専門医を選ぶ 矯正治療の成功は、適切な歯科医選びから始まります。日本矯正歯科学会の認定医や専門医の資格を持ち、豊富な治療実績がある歯科医師を選びましょう。初回のカウンセリングで、医師の説明がわかりやすく、質問に丁寧に答えてくれるかどうかも重要なポイントです。 治療前の徹底した準備と理解 治療を始める前に、治療計画、期間、費用、リスク、代替治療法について詳しく理解しておきましょう。また、虫歯や歯周病がある場合は、矯正治療前に治療を完了させることが重要です。 医師の指示を守り、定期検診を欠かさない 治療中は医師の指示を厳守し、定期検診を欠かさないことが成功の鍵です。特に、装着時間や食事制限、口腔ケアの方法については、しっかりと守りましょう。 治療後のケアも重要 矯正治療が終わっても油断は禁物です。指示された期間と方法でリテーナーを使用し、定期的なメンテナンスを受けることで、治療結果を長く維持することができます。 矯正治療は、適切な知識と準備、そして医師との協力関係があれば、高い確率で成功します。この記事が、あなたの美しい歯並びへの第一歩となれば幸いです。 より詳しい情報や個別のご相談は、ぜひ表参道AK歯科・矯正歯科にお問い合わせください。矯正治療の経験豊富な専門医が、あなたに最適な治療法をご提案いたします。 マウスピース矯正、ガミースマイルの詳細については、公式サイトをご覧ください。無料カウンセリングも実施しておりますので、お気軽にご予約ください。 表参道AK歯科・矯正歯科 院長:小室 敦 https://doctorsfile.jp/h/197421/df/1/ 略歴 日本歯科大学 卒業 日本歯科大学附属病院 研修医 都内歯科医院 勤務医 都内インプラントセンター 副院長 都内矯正歯科専門医院 勤務医 都内審美・矯正歯科専門医院 院長 所属団体 日本矯正歯科学会 日本口腔インプラント学会 日本歯周病学会 日本歯科審美学会 日本臨床歯科学会(東京SJCD) 包括的矯正歯科研究会 下間矯正研修会インストラクター レベルアンカレッジシステム(LAS) 参加講習会 口腔インプラント専修医認定100時間コース JIADS(ペリオコース) 下間矯正研修会レギュラーコース 下間矯正研修会アドバンスコース 石井歯内療法研修会 SJCDレギュラーコース SJCDマスターコース SJCDマイクロコース コンセプトに基づく包括的矯正治療実践ベーシックコース (綿引 淳一 先生) 新臨床歯科矯正学研修会専門医コース 診断・治療編(石川 晴夫 先生) 新臨床歯科矯正学研修会専門医コース 応用編(石川 晴夫 先生) レベルアンカレッジシステム(LAS)レギュラーコース 他多数参加

審美歯科

治療内容口元に「美しさ」をプラスする治療
費用¥55,000〜¥165,000(税込)
治療後のリスクセラミックの破折、色調の再現に限界があります

インプラント

治療内容欠損部分に人工歯を取り付ける治療
費用1歯あたり ¥280,000〜¥425,000(税込)
治療後のリスクインプラント周囲炎の可能性があるためメンテナンスが必要

ホワイトニング

治療内容気になる歯の着色を白くする治療
費用¥24,000〜¥48,000(税込)
治療後のリスク場合によっては後戻り・知覚過敏になる可能性があります

矯正歯科

治療内容歯並びをよくする治療
費用110,000〜¥1,320,000(税込)
治療後のリスク場合によっては後戻りが考えられます

ガミースマイル

治療内容歯茎のラインをきれいに整える治療
費用¥16,500〜¥275,000(税込)
治療後のリスク疼痛・出血などを生じる事があります

重度歯周病

治療内容再生療法をはじめ、清掃性の向上のための治療
費用¥27,500~¥77,000(税込)
治療後のリスク疼痛などを生じる事があります

入れ歯

治療内容失った歯を人工歯で補う治療
費用¥110,000~¥495,000(税込)
治療後のリスク疼痛・違和感などを生じる事があります

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