

「最近、食事のときに噛みにくくなった」「顎が疲れやすい」「歯が短くなった気がする」・・・こんな症状に心当たりはありませんか?
噛み合わせの崩壊は、多くの方が想像する「虫歯で歯が失われる」という原因だけではありません。
実は、歯ぎしりや食いしばり、片側噛みといった「力の偏り」が、短期間で歯を破壊し、噛み合わせを大きく変えてしまうのです。
見逃されがちなこの「力のリスク」を放置すると、全顎治療が必要になるだけでなく、全身の健康にまで影響を及ぼす可能性があります。本記事では、噛み合わせ崩壊の真の原因と、予防法について専門的に解説します。
Contents
- 1 噛み合わせが崩れるとはどういう状態か
- 2 虫歯だけではない|噛み合わせ崩壊の真の原因
- 3 歯ぎしり・食いしばりによる「力の破壊」
- 4 片側噛みによる「力の偏り」
- 5 日常の癖が引き起こす噛み合わせの変化
- 6 詰め物・被せ物の不適合
- 7 見逃されがちな「力のリスク」が引き起こす深刻な影響
- 8 顎関節症のリスク
- 9 咀嚼・嚥下機能への影響
- 10 口内環境の悪化と全身への影響
- 11 見た目の変化と心理的影響
- 12 全顎治療が必要になる前に|今日からできる予防法
- 13 歯ぎしり・食いしばりへの対策
- 14 日常の癖を改善する
- 15 バランスの良い咀嚼習慣
- 16 口腔機能を維持するトレーニング
- 17 定期的な歯科検診の重要性
- 18 専門的な治療が必要な場合|矯正治療という選択肢
- 19 矯正治療のメリット
- 20 部分的な改善には被せ物も
- 21 包括的な治療アプローチ
- 22 まとめ|噛み合わせを守ることは全身の健康を守ること
- 23 表参道AK歯科・矯正歯科 院長:小室 敦
噛み合わせが崩れるとはどういう状態か
噛み合わせが崩れるとは、上下の歯が当たる位置や接触のバランスが崩れている状態を指します。
正常な噛み合わせでは、上下の歯がバランスよく接触し、食べ物を効率的に咀嚼できます。しかし、噛み合わせが悪化すると、特定の歯に力が集中したり、顎の動きが制限されたり、不自然なすき間ができたりします。
噛み合わせの崩壊には、いくつかのパターンがあります。「上顎前突(出っ歯)」は上の前歯が前方に出ている状態で、「反対咬合(受け口)」は下の前歯が上の前歯よりも前に出ている状態です。

また、「開咬」は奥歯を噛み合わせても上下の前歯の間にすき間ができる状態で、前歯で食べ物を噛み切ることができません。「過蓋咬合」は上の前歯が下の前歯を深く覆っている状態で、重度の場合は下の前歯が上の前歯の裏側の歯ぐきに当たり、傷や炎症を引き起こします。
「叢生(乱ぐい歯)」は歯が重なったり、ねじれたりして不規則に並んでいる状態です。犬歯が外側に飛び出している八重歯は、叢生の代表的な例です。「交叉咬合」は上下の歯の噛み合わせが左右または前後で逆になっている状態で、特定の歯に過度な力がかかることで、歯の摩耗や歯周組織へのダメージ、顎関節への負担が生じやすくなります。
これらの噛み合わせの異常は、単に見た目の問題ではなく、口腔機能全体に影響を及ぼし、さらには全身の健康にも関わってくるのです。
虫歯だけではない|噛み合わせ崩壊の真の原因
噛み合わせが崩れる原因は、虫歯による歯の喪失だけではありません。
実は、日常生活の中に潜む「力の偏り」が、噛み合わせを大きく変えてしまう主要因となっているのです。
歯ぎしり・食いしばりによる「力の破壊」
寝ているときの歯ぎしりは、体重の2〜5倍の負担が歯にかかるとされています。
普段は出さない強い力で食いしばるため、歯やそれを支える顎骨、顎関節にも大きな負担をかけます。「最近、歯並びが変わった気がする」「起きた時に顎が痛い」「噛み合わせの凹凸が減ってる」などの症状は、歯ぎしりをしている可能性が高いサインです。
歯が磨り減ることで正しい噛み合わせの位置が分からなくなり、さらに噛み合わせが悪化するという悪循環に陥ります。歯ぎしりは、噛み合わせが悪いことによるストレスがたまりやすくなり、睡眠時の歯ぎしりの原因につながるとも考えられています。
片側噛みによる「力の偏り」
噛む場所が左右どちらかに偏っていると、筋肉の使い方に違いがうまれるだけでなく、歯を支える歯根膜や顎骨への刺激に差ができることで、噛み合わせに変化が起こります。
食事をする際は、左右バランス良く噛むことが重要です。また、歯がない部分の長期間の放置は、隣の歯がその部分へ傾いたり、噛み合う歯が伸びてくることがあるため、注意が必要です。

日常の癖が引き起こす噛み合わせの変化
頬杖をつくと、下顎に強い力がかかります。長時間の頬杖は、下顎の位置がずれる原因となり、上顎との噛み合わせに変化がうまれます。また、下顎は顎関節と繋がっていることから、頬杖は顎関節症になりやすくなるともいわれています。
舌で強く前歯に圧をかけたり、唇を噛む癖があると、前歯が傾く原因となり、結果として歯並びに影響がうまれます。歯並びが変われば、当然噛み合わせも変わりますので、口元の癖は早めに直すようにしましょう。
うつ伏せで寝る体勢は、枕に顔を押し付ける形となり、頬杖と同じように顎に強い負担がかかります。また、首を痛める原因にもなるため、仰向けの体勢で寝るようにしましょう。
口呼吸の方の多くは、唇が常に開いており、前歯が出やすい傾向にあります。歯並びの変化は噛み合わせを左右し、口呼吸をすることで、口腔内が乾燥し、常に虫歯になりやすい状態となります。
詰め物・被せ物の不適合
詰め物や被せ物をする際の噛み合わせの調整を怠ると、自然な噛み合わせではなくなるため、徐々にその歯に合わせるように歯が動き出します。
1本の歯が原因で全体に影響が出ますので、噛み合わせの調整はしっかりと行う必要があります。
見逃されがちな「力のリスク」が引き起こす深刻な影響
噛み合わせの崩れは、口の中だけの問題ではありません。
全身にさまざまな不調をもたらす可能性があるのです。
顎関節症のリスク
噛み合わせの崩れは、顎関節症の大きなリスク要因です。噛み合わせが乱れると、下顎が本来の位置ではなく、ずれた位置で噛み合わせようとするため、顎関節や周囲の筋肉に不自然な負担がかかります。
この状態が続くことで、関節内でクッションの役割を担う関節円板にダメージが生じるほか、咀嚼筋に過度な緊張がかかるようになります。顎関節症は、噛むときに使用する咀嚼筋や顎関節内の組織の炎症、骨の変形などにより、お口を開けることが困難な状態を指します。
咀嚼・嚥下機能への影響
噛み合わせが崩れると、咀嚼や嚥下の機能に支障が出ることがあります。
例えば、開咬では前歯で物を噛み切れないため、奥歯だけで咀嚼することになり、奥歯に過度な負担がかかります。反対咬合や上顎前突でも、前歯の機能が制限され、咀嚼効率が低下します。
咀嚼機能が低下すると、十分に細かくできない食べ物を飲み込むことになり、消化器官への負担が増してしまいます。また、口腔機能が低下する背景には、歯の本数の減少だけでなく、持病の影響、薬の副作用による口の乾燥、食習慣など実に多くの要因があります。

口内環境の悪化と全身への影響
歯並びに凹凸があったり歯が重なり合っていたりすると、歯ブラシが届きにくい部分ができ、歯垢や食べかすが溜まりやすくなるため、口内環境が悪化しやすくなります。
また、特定の歯に過度な力がかかると、歯を支える歯周組織に負担がかかり、歯周病の進行を早めることがあります。近年の研究では、奥歯の噛み合わせが悪く、食品を噛み砕く能力が低下している高齢者は、高血圧のリスクが1.7倍に上昇することが明らかになっています。
口の健康は身体機能の維持に密接に関連しており、歯の喪失を防ぎ、咬合力を健全に保つことは、高血圧の予防・改善とも関連している可能性があります。
見た目の変化と心理的影響
噛む場所が偏る場合や、歯ぎしりが頻繁に起こる場合は、咀嚼筋の負担のバランスが崩れ、その結果見た目にも変化が現れる可能性があります。
筋肉は使えば使うほど硬くなることから、片方のエラが目立ってみえる方もいらっしゃいます。いくらマッサージやボトックス注射をしても、噛み合わせを治さない限り再発しやすい傾向にあります。
全顎治療が必要になる前に|今日からできる予防法
噛み合わせの崩壊を防ぐためには、日常生活での意識的な取り組みが重要です。
ここでは、今日から実践できる具体的な予防法をご紹介します。
歯ぎしり・食いしばりへの対策
寝ているときに起こる歯ぎしりを止めることはできませんが、専用のマウスピースを使用することで、歯ぎしりによる歯や顎への負担を軽減できます。
心当たりのある方は、まずは歯科医院で相談してみましょう。マウスピースは、歯ぎしりを止めるのではなく、歯や顎関節を保護する役割を果たします。
日常の癖を改善する
頬杖、うつ伏せ寝、舌や唇の癖など、日常のくせは意識することで改善につながります。
これらの癖を自覚し、意識的に避けることが大切です。特に、長時間のデスクワークや読書の際に頬杖をつく癖がある方は、姿勢を正すことを心がけましょう。
バランスの良い咀嚼習慣
食事では左右バランス良く噛むようにしましょう。
また、適度に噛みごたえのあるものを取り入れたり、ガムを噛んだりして、意識的に口の筋肉を使うことも有効です。噛みやすいものばかりを選ぶ食生活は咬合力(噛む力)の低下を招き、さらに硬いものが食べづらくなるという悪循環を生みます。

口腔機能を維持するトレーニング
ブクブクうがい(口を閉じたままほおを左右に動かす)や、ガラガラうがい(頭を少し後ろに倒してのどの奥を震わせる)を長めに行うことも有効です。
これらの動作は、口の周りの筋肉を鍛え、口腔機能の維持に役立ちます。また、社会的な孤立によって「食べる」「話す」機会が減ると、口腔衛生への関心も薄れやすく、口腔機能の低下を加速させるため、積極的なコミュニケーションも大切です。
定期的な歯科検診の重要性
かかりつけの歯科医を持つことが予防の基本です。
定期的なメンテナンスでむし歯や歯周病を早期に防ぐとともに、噛み合わせのチェックも受けましょう。お口の中の負担が偏らないよう、定期的に噛み合わせのチェックをする必要があります。
歯を失った状態の放置は、ドミノ倒しのように全体の歯並びが悪くなる可能性があるため注意が必要です。入れ歯やブリッジ、インプラントを入れて、隣接する歯が倒れてくることを防止し、全体の噛み合わせを保つことが見込めます。
専門的な治療が必要な場合|矯正治療という選択肢
噛み合わせのずれが大きい場合は、歯を削って行う調整方法はすすめられない可能性があります。
一度削った歯はもとには戻らないため、治療の見極めは重要です。
矯正治療のメリット
削る部位や量が多くなる場合は、矯正治療も視野に入れましょう。
全体の噛み合わせを整えることが期待できるため、見た目の悪い変化を防ぐだけでなく、将来の歯や顎関節への良い影響にもつながります。矯正治療は、歯並びをよくする治療であり、不正咬合をキレイな歯並びにするだけではなく、バランス良く、しっかり噛めるように改善します。
部分的な改善には被せ物も
特定の歯が原因で噛み合わせが悪くなっている場合は、被せ物をして治す方法もあります。
「虫歯がある」、「以前に神経の処置をしている」など、健康な状態の歯でなければ選択肢に含めることもおすすめです。全体の歯並びを変える矯正治療よりも費用を安く抑えることができ、選ぶ素材によっては笑ったときの印象が良くなる可能性もあります。
包括的な治療アプローチ
噛み合わせの治療は、単に歯を動かすだけではなく、口腔機能全体を管理し、広い角度から支援することが求められます。
例えば、認知症における食事拒否も、空間や提供方法などその人に適した環境を整えると、食べられるようになるケースがあります。そういった食支援も含め、診療室の枠を越えて介護施設やご自宅に訪問し、患者さんの生活環境に寄り添いながらケアを行う機会も増えています。
まとめ|噛み合わせを守ることは全身の健康を守ること
噛み合わせの崩壊は、虫歯だけが原因ではありません。
歯ぎしり、食いしばり、片側噛み、日常の癖など、「力の偏り」が歯を短期間で破壊し、噛み合わせを大きく変えてしまうのです。
これらの「力のリスク」を放置すると、顎関節症、咀嚼・嚥下機能の低下、口内環境の悪化、さらには高血圧などの全身疾患のリスクまで高まる可能性があります。
予防の基本は、日常生活での意識的な取り組みと、定期的な歯科検診です。バランスの良い咀嚼習慣を心がけ、頬杖やうつ伏せ寝などの癖を改善し、歯ぎしりがある方は専用のマウスピースを使用しましょう。
また、噛み合わせのずれが大きい場合は、矯正治療や被せ物による治療も選択肢となります。一度削った歯はもとには戻らないため、治療の見極めは重要です。
噛み合わせを守ることは、単に歯を守るだけでなく、全身の健康を守ることにつながります。気になる症状がある方は、早めに専門医にご相談ください。
表参道AK歯科・矯正歯科では、経験豊富な院長がすべての診断・治療計画を担当し、3DスキャナーやAI分析などの最新デジタル機器を活用した正確な診断を行っています。矯正治療実績は累計1,000件以上あり、他院で断られた難症例やセカンドオピニオンにも対応しています。
不安解消メモ:初回は60分前後が目安。痛みの出る場面(朝・食事中など)をメモしておくと説明がスムーズです。
噛み合わせに関するお悩みや不安がございましたら、お気軽にご相談ください。詳細はこちらからご確認いただけます。
表参道AK歯科・矯正歯科 院長:小室 敦

https://doctorsfile.jp/h/197421/df/1/
略歴
- 日本歯科大学 卒業
- 日本歯科大学附属病院 研修医
- 都内歯科医院 勤務医
- 都内インプラントセンター 副院長
- 都内矯正歯科専門医院 勤務医
- 都内審美・矯正歯科専門医院 院長
所属団体
- 日本矯正歯科学会
- 日本口腔インプラント学会
- 日本歯周病学会
- 日本歯科審美学会
- 日本臨床歯科学会(東京SJCD)
- 包括的矯正歯科研究会
- 下間矯正研修会インストラクター
- レベルアンカレッジシステム(LAS)
参加講習会
- 口腔インプラント専修医認定100時間コース
- JIADS(ペリオコース)
- 下間矯正研修会レギュラーコース
- 下間矯正研修会アドバンスコース
- 石井歯内療法研修会
- SJCDレギュラーコース
- SJCDマスターコース
- SJCDマイクロコース
- コンセプトに基づく包括的矯正治療実践ベーシックコース (綿引 淳一 先生)
- 新臨床歯科矯正学研修会専門医コース 診断・治療編(石川 晴夫 先生)
- 新臨床歯科矯正学研修会専門医コース 応用編(石川 晴夫 先生)
- レベルアンカレッジシステム(LAS)レギュラーコース
- 他多数参加






